物事を多角的に考える27
前回に続き、様々な事例について多角的に考えてみたいと思います。
■正しく怖がるとはどういう事か
新型コロナウイルスが広まり始めた頃、テレビのニュースなどで、パニックにならずに正しく怖がりましょうというコメントをよく聞きました。
この「正しく怖がる」というのは具体的にはどうすれば良いのでしょうか?
以前も少し書きましたが、正しく怖がるには、それに対する知識が必要です。
新型コロナウイルスについても、どのような特徴があり、それによる影響がどの程度かが分かれば、自ずと対策が分かるので、必要以上に怖れることはなくなります。
幽霊が怖いという人も多いと思いますが、必要以上に怖がっていると、夜中の隙間風の音やちょっとした光にも反応して怖くなってしまいます。
ほとんどのものは原因が分かれば、怖くはなくなります。
ただ、霊的なものについては、私も説明ができない現象が起きているのも事実です。
しかし、これも必要以上に怖れる必要はなく、幽霊がなぜ現れるのかや、それによる影響が分かっていれば、仮に幽霊が本当に現れたとしても、怖れる必要はありません。
とは言っても、もしそうなったら冷静にいるのは難しいかもしれませんが、私がもし本当に幽霊を見たなら、その実態などを調べてみたいと思っているくらいです。
不可思議な霊的な現象があったとしても、幽霊に誰かが殺されたという話は聞いたことがありません。
幽霊にできることは、せいぜい幻覚や音などで驚かして事故を起こさせる程度でしょう。
それが分かっていれば、対策としては、驚かなければ良いということになります。
このように、知識を持てば対策も分かり、怖くなくなるということが多いものです。
孫子の兵法書に「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」とありますが、正にその通りで、敵をよく研究して自分の状態も分かれば、何も怖れることはないということです。
よく便利なITシステムであってもセキュリティが心配だという声を聞きますが、これもコンピューターやインターネットなどを勉強すれば、セキュリティについても分かってきますので、きちんと対策をしておけば何も怖がることはなく、システムをフルに活用できるようになります。
知らないものついては怖いと思ってしまいますが、知識があれば怖くなくなることは意外と多いのです。
虫や爬虫類などが怖いという人も、それについて研究してみれば、怖さがなくなるどころか、逆に興味が湧いてきて可愛いと思うようになるかもしれません。
現在の新型コロナウイルスについても、ニュースなどをこまめにチェックして、その特徴や影響を見極め、自分で対策を考えるようにしましょう。
コロナウイルスについては、このサイトでも色々と書いておりますので、良かったら参照していただければと思います。
■ミスは何回まで許すか
会社で上司が部下に、同じミスを繰り返すなと叱ることは多いと思います。
確かに同じミスをするということは、反省をしていないか、上司の言うことを聞いていないということになるので、そのような人物は評価が下がります。
ただ、これも厳しすぎるのもいけません。
人間はミスをするものですし、うっかり同じミスをしてしまうこともあるのです。
たまに、他人の発言に間違いがあった時に、二度とあの人の言うことを信用しないという方がいらっしゃいますが、これも厳しすぎます。
確かに間違いがあったかもしれませんが、だとしても、たった一回の間違った発言で、その後は聞く耳を持たないというのはやりすぎです。
誰にでもミスはあるものですし、その時は間違っていたとしても、その後は素晴らしい意見を言うようになるかもしれません。
もしくは、たまたま一度間違った意見を言ってしまっただけで、本来は頭の良い人かもしれないのです。
要は、一度の間違いだけで、その人物を判断してはならないということです。
よくよく、その後も言動を観察して判断するようにしましょう。
もちろん、同じミスを何度も繰り返してしまうような人は、信用できなくなってしまうのもやむを得ません。
このような人物は学習能力がなく、仕事などの能力も高いとは思えません。
では、同じミスは何回まで許すのが良いのでしょうか?
状況にもよりますが、反省して気をつけていても、細かいミスは繰り返してしまう場合があります。
基準として、大きな失敗は二回もしてはなりませんが、小さなミスであれば、二回までは許してあげても良いのではないかと思います。
部下に注意をしても、三回も同じミスをするようでは、能力が低いと判断せざるを得ないので、上に報告して対応を決める必要があるでしょう。
人物の評価はなかなか難しいものですが、一つの判断基準として参考にしていただければと思います。
部下側としては、基本的に同じミスを二度と繰り返さないように、ミスをした時に反省し、再発防止に努めるようにしましょう。
■意見に惑わされないこと
「言いたいことを言えないこんな世の中じゃPOISON」という歌が過去にありましたが、ネットでみんなが言いたいことを言えるようになった今の世の中の方が、よほどポイズンのような気がします。
誹謗中傷についてもそうですが、これについては誹謗中傷問題に書きましたので、そちらも参照いただければと思います。
ここで一つ言いたいのは、データ上、ごく少数しかいないのに、そこをピックアップして誇張し、そういう人が多いと批判する人が、意外と多いということです。
例えば、ゲーム依存症になるから、ゲームは良くないという人たちです。
テレビゲームやスマートフォンゲームなどをやっている人は多くいますが、ゲーム依存症になるような人は、0.0数%程度しかいません。
ゲームにハマってしまう人はもっと多いですが、依存症ともなると、その程度の数値でしょう。
そこをやたらピックアップして誇張して、さもみんながゲーム依存症になってしまうからゲームは良くないと、ゲーム自体を悪とする人たちが意外と多いのです。
似たような例では、無差別の通り魔を行う人は、アニメやゲーム好きが多いというものです。
確かにデータ上は、通り魔を行った人は、アニメやゲーム好きが多いというのは出ていると思います。
ただ、それは他人との人付き合いがうまくいかない人が、孤立してしまってアニメやゲーム好きになる人が多いのですが、その中からごくわずかの人が、ストレスを爆発させてしまって、テロ行為に走ってしまうのでしょう。
しかし、アニメやゲームが好きな人はたくさんいて、その中のごく0.00数%の人が通り魔となってしまうわけで、残りの99.99%以上の人を批難すべきではありません。
通り魔になってしまうのは、人間関係のストレスによるものであり、アニメやゲームが悪影響を与えて通り魔になるわけではないのです。
仮にアニメやゲームが悪影響を与えているなら、もっと犯罪率は高くなっているはずであり、日本は治安の悪い国になっていると思われますが、実際の犯罪率はかなり低いです。
それを、さもアニメやゲームが悪影響を与えるので、教育上も良くないとでも言いたげな意見を言うのはどうかと思われます。
こういったことを平気でネットやテレビで言う人が多いので、我々としてもそういった意見に惑わされないようにする必要があります。
また、政治家にもそのような一部のデータしか見ないような人が多いです。
例えば、失業率が低下しているから景気が回復していると言う自民党の人がいます。
失業率の低下自体は良いとは思いますが、非正規社員も増えているので、実際は景気が悪くて苦しんでいる人が多いということです。
景気が悪いからこそ、ニートなども親に養ってもらえなくなっているので、仕事をせざるを得なくなったり、失業した人も貯蓄が少ないためにどんな仕事でもやらざるを得なくなって、失業率が低下しているとも考えられます。
それを、失業率の低下したというデータのみをピックアップして、さぞ景気が回復しているアピールをしていますが、よくよく視野を広げて様々なデータを見て、騙されないようにしなければなりません。
このように、少数しかない部分をやたら誇張したり、一部のデータのみを強調して、こうだと言い張る人が増えていますが、実際はどのくらいのパーセンテージなのかや、他のデータはどうなっているかなど、冷静に考えるようにする必要があります。
近年は、一般人であってもネットで気軽にそういった意見を言えるようになってきていますが、意見の信憑性を確かめるなどして、他人の意見に惑わされないように十分注意しましょう。