法律の仕組み3

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前回に続き、法律に関することを事例とともにご紹介させていただこうと思います。

 

■名誉毀損罪、侮辱罪

名誉毀損罪と侮辱罪の違いがあいまいな方も多いかと思います。

名誉毀損罪は、事実を元に公然と誰かを傷つけ、社会的地位や信用を失わせた場合に成立します。

例えば、「この人は過去に窃盗をしたことがある」と会社内の人や顧客などに告げて、社内の地位や周囲の信頼を低下させた場合になどに成立します。
この場合、窃盗をした過去というのが事実でなければなりません。

一方、侮辱罪は名誉毀損罪に当たらないものの、他人を侮辱をした場合に成立します。

何度も「バカ」「お前は頭が悪い」などと言い続けると、それが事実でなくとも侮辱罪が成立する場合があります。
ただし、こちらも公然と他人を侮辱した場合に限りますので、少人数内で侮辱されても、侮辱罪で訴えて成立させるのは難しいと思われます。

当然、名誉毀損罪の方が罪が重く、罰則も厳しくなっています。

また、どちらも公然と他人を侮辱する行為なので、インターネット上で誹謗中傷を書いた場合も、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する場合があります。
インターネットでは、誰が書いたか分からないだろうからと、匿名で誹謗中傷を書く人も多いですが、インターネットを形成する各サーバーにはログが残りますので、何も対策をしていなければ、ログを追跡して書き込んだ人を特定することは可能です。

現実世界でも人を傷つけてはいけませんが、ネット上でも人を傷つけるような言葉を発していないか、常に気をつけておく必要があります。

 

■隠し撮りや盗聴は犯罪?

浮気調査などで、隠し撮りや盗聴をしたいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは犯罪ではないのでしょうか?

隠し撮りや盗聴をするためのカメラやマイクを、他人の家に勝手に侵入して設置した場合、家宅侵入罪となる可能性があります。
また、犯罪でなくとも、やられた本人がプライバシーの侵害を訴えた場合は、民事裁判となります。
ただ、裁判となってしまっても、調査のためにやむを得ない事情があった場合は、勝てる場合もあります。

上記のような問題がなければ、隠し撮りや盗聴をしても、法的には問題がないということになります。
もちろん、プライバシーの侵害のリスクは常にありますが、浮気調査などで相手がやましいことをしている場合は、訴えてこない可能性は高いでしょう。

しかし、もし相手の浮気疑惑が勘違いだった場合、犯罪でなくとも何らかのトラブルとなる可能性がありますので、隠し撮りや盗聴などを行なう場合は、覚悟をしておく必要はあります。

探偵が依頼を受けて、隠し撮りや盗聴を行なうこともあります。
探偵だからと言って、何をしても良いわけではなく、上で書いたようなリスクは同様にありますので、法に触れない程度に行っています。

探偵の方が法律に詳しいところも多いでしょうし、慣れている可能性も高いので、自分で浮気調査などができない場合は、探偵に頼むのも一つの方法でしょう。
当然、探偵に頼むと費用はかかりますので、経済的に厳しい場合は自分で行なっても良いですが、法律については十分に調べておきましょう。

 

■殺人罪の適用範囲

殺人罪の適用範囲は、様々なケースがあり、判断が難しい事例もあります。

例えば、Aさんを殺したいとBさん考え、BさんがレストランでAさんに遅効性の毒を盛ったのですが、その帰り道でAさんが車にひかれて死んでしまった場合、Bさんは無罪でしょうか?

この場合、Bさんは殺人未遂罪となり、Aさんをひき殺してしまった車の運転手が過失致死罪となる可能性が高いです。
ただ、Bさんに殺人の意思があり、Aさんは死んでしまっているので、Bさんに殺人罪が問われる可能性もあります。

では、Bさんが盛った毒のせいでAさんが苦しんで道路に突然倒れ、そのせいで車にひかれてAさんが死んでしまった場合はどうでしょうか?

このケースでは、Bさんは殺人罪となる可能性が高いです。
Bさんに殺人の意思があり、Bさんによる毒が、直接の死因に関わっているからです。

少し複雑になりますが、次のケースはどうでしょうか。
BさんがAさんの飲み物に毒を盛ったのですが、Cさんが割り込んできてAさんの飲み物を飲んで死んでしまった場合、Bさんは殺人罪でしょうか、それとも過失致死罪でしょうか?

この場合も、恐らくBさんは殺人罪に問われる可能性が高いと思われます。
Bさんに殺人の意思があり、その毒によって人が亡くなってしまっているからです。

さらに複雑になりますが、次のケースはどうでしょうか。
BさんもCさんもAさんを殺したいと考え、BさんとCさんが同時にAさんに毒を盛り、Cさんの毒によってAさんが死んでしまった場合は、Bさんも殺人罪となるでしょうか?

これも先ほど書いたように、Bさんにも殺人の意思があり、実際にAさんは死んでしまっているので、BさんもCさんも殺人罪に問われる可能性が高いです。
ただ、毒の内容や状況によっては、Bさんは殺人未遂罪になる可能性もあります。

非常に複雑ではありますが、要は殺人の意思と実行があって、実際に死人が出ている場合は、殺人罪が適用される可能性が高いということです。
殺人の意思はあるのものの、直接の死因にはならなかった場合や死者が出なかった場合は殺人未遂罪、殺人の意思はないのに、人が死んでしまった場合は過失致死罪、殺人の意思はなく、人は死んでいないものの、傷を負わせてしまった場合は過失傷害罪に問われるということになるでしょう。

ただ、ケースによって判決も変わってきますので、様々な状況や事情は考慮しなくてはならないということは覚えておきましょう。

 



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