裁判の仕組み2

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今回は、裁判に関連する知識を少しご紹介させていただこうと思います。

 

■日本の刑事裁判

日本では、刑事事件の裁判は99.9%以上が有罪となっており、日本の裁判はおかしいという意見があります。
明らかにどの他国に比べても高い数値になっていますが、これは日本の裁判がおかしいと言うよりも、検察側のやり方の問題かと思います。

日本の検察は、証拠を集められるだけ集めて、有罪が確定してから裁判を行うというやり方を取っています。
ほぼ確実に被告人が有罪だと分かってから裁判を行うので、有罪率が高いということです。

日本の検察は、それだけ威信や信頼というものを大事にしているのでしょう。
もし、裁判で被告人が無罪となったら、警察や検察が批判されてしまい、信頼が揺らぐというのを恐れているということかもしれません。

このやり方でも無罪になるケースというのは、例えば被告人が罪を認めていて、自白が大きな証拠となっていたのに、裁判で突然無罪を訴えたり、証人が裁判前と証言を変えた場合などに起こります。
様々な事情があるとは思いますが、こういったケースはレアケースなので、刑事裁判の有罪率は高いのです。

他の国では、裁判で有罪か無罪かを審議するところも多いのかもしれませんが、日本の刑事裁判は、基本的に有罪が決まっており、懲罰を決めるために裁判をしていると言えます。
懲罰は、罪の重さを考えて、罰金をいくらにするとか、懲役を何年にするかというものです。

こういった理由があるので、日本の刑事裁判の有罪率が高いということです。
ただ、このやり方は、やはり裁判までの証拠集めや聞き込みなどに時間がかかりますし、証拠が足りないと裁判になかなか進まないなどのデメリットがあり、問題視されています。

最近は見直されて、裁判も早く行われるようになりつつありますが、刑事裁判は間違いがあってはなりませんので、慎重にかつ確実に行っていただきたいものです。

 

■警察と検察

警察と検察の違いについての理解があやふやな方もいらっしゃるかと思います。

別の記事でも少し触れましたが、警察は刑法に違反した容疑者を逮捕したり、証拠を集めたりする組織で、検察は警察が捕まえた容疑者について処分を判断し、裁判を担当する組織です。
ただ、警察や大企業などの犯罪を取り調べる場合は、検察が捜査を担当することがあります。

警察が逮捕した容疑者の身柄は、検察に送られ、裁判が始まるまで留置所で過ごすことになります。
軽微な事件や、容疑者が有名人などで逃亡の恐れが低い場合は、書類のみ検察に送検され、裁判まで容疑者は通常通りに生活できる場合もあります。
これが書類送検と呼ばれるものです。

留置所は刑務所とは違います。
刑務所は、刑罰で懲役刑や禁固刑を受けた受刑者が過ごすところで。留置所は裁判が始まるまで容疑者が過ごすところです。

容疑者の犯行が間違いないと判断されれば、検察が起訴して、刑事裁判を行うことになります。
民事裁判では、上告人も被告人も一般の人ですが、刑事裁判では、上告人は必ず検事となります。
検事というのは、検察官のことで、検察の人が担当します。

刑事裁判で有罪となければ、その時点で被告人に前科が付きます。
前科が付くと、社会に戻った時に不利益が生じる場合があります。
例えば、就職が不利になったり、クレジットカードなどを作る際も審査に落ちやすくなるなど、社会的な信頼を失うことになります。

民事裁判の場合は、被告人に損害賠償や慰謝料などの支払いが命令されるなどの判決がありますが、前科が付くわけではありません。
民事裁判は、あくまで民間同士の裁判ですので、民事法に違反があっても、犯罪というわけではありません。

 

■懲役刑と禁固刑

懲役刑と禁固刑の違いをご存知でしょうか。

どちらも刑務所に入れられる刑ではありますが、懲役刑は内職などの仕事をさせられる刑で、禁固刑はただ刑務所に入れられるだけの刑罰です。
禁固刑の方が楽で良いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は刑務所で何もせずに過ごす方が苦痛のようで、仕事をさせてくれと申し出る受刑者も多いそうです。

内職で稼いだお金は、出所時に支払われるようですが、わずかな金額にしかならないようです。
まぁ、刑罰ですし、刑務所にいる間も食事代などを差し引けば、仕方ないとも言えます。

 

■無期懲役刑と終身刑

無期懲役刑を終身刑と勘違いする方も多いようです。

終身刑は文字通り、一生刑務所に入るという刑ですが、無期懲役というのは期限が決まっていないだけで、一生刑務所から出られないというわけではありません。
終身刑は基本的に釈放されることはありませんが、無期懲役刑の場合、反省して長年まじめに仕事をこなして過ごしていれば、釈放されることがあります。

ただ、無期懲役刑を受けるということは、それなりに凶悪犯罪を行った人物ですので、釈放されるというケースはあまりないようです。
そのため、無期懲役刑も事実上、終身刑と同等のようになってきていると言えます。

受刑者への心理を考えて、無期懲役ならまだ望みがあるということで、無期懲役としているのかもしれません。
凶悪犯罪者に望みを与える必要はないというご意見もあるかもしれませんが、望みが全くないと、脱獄や自殺を図るなどの可能性が生じやすくなるので、そういった考えを防ぐという意味では有効なのかと思います。

 



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