法律の仕組み2
昨今はセクハラやパワハラなどの問題がニュースを賑わせています。
今回はこういったことや、様々な問題などを法律面から考えてみたいと思います。
■ハラスメントとは何か
スポーツ業界でのパワハラ問題などが最近はニュースでよく聞きますが、ハラスメント問題について取り上げてみます。
そもそもハラスメントというのは、嫌がらせという意味で、セクハラはセクシャルハラスメント、つまり性的嫌がらせという意味になります。
パワハラは、パワーハラスメントで上司や指導者など立場の強い人間が、権力を利用して嫌がらせをするということです。
その他、マタニティハラスメントはマタハラといって、妊婦に対する嫌がらせがあったり、体臭などの嫌がらせをスメルハラスメントといって、スメハラという言葉も出てきています。
法律的に考えると、ハラスメントは嫌がらせですので、即座に罪になるということはありません。
政界のセクハラ問題で、麻生財務大臣が「セクハラ罪というものはない」と言っていたのを覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、確かにセクハラで逮捕ということにはなりません。
ただ、セクハラも度が行き過ぎると強制わいせつ罪となります。
また、罪にならないからと言って、何をしても良いわけではありません。
何度も書いておりますが、例え法律違反にならなくとも、タバコや騒音など、人に迷惑がかかることばかりしていては、いつか手痛いしっぺ返しを喰らうことがあります。
また、有名な人がそういった問題を起こせば、社会的な信頼度低下につながり、様々な障害が起きることもあります。
スポーツ業界のパワハラ問題も、嫌がらせだけでは罪にはなりません。
しかし、いくら選手を鍛えるためとはいえ、何度も殴ったり蹴ったりするようでは、暴行罪になります。
それに、刑法に違反していなくとも、民事で慰謝料請求の裁判を起こされる場合もあります。
セクハラについては、特に厳しくなってきており、例えば会社内で男性が、PCにアイドルの壁紙を貼っていただけでも、それが女性にとって不快なので、セクハラで訴えるという話も聞いたことがあります。
もちろん、この程度では原告が裁判で勝つことは難しいので、程度の問題もあります。
何度も何度も、嫌な言葉を言われたり、身体を触られるなど、不快な状態が長期間続くようなら、慰謝料の支払いを命じられる可能性は高まるでしょう。
逆に、異性が嫌だと思わなければセクハラにはならず、例えば女性社員の肩をやたらと男性社員が触ってくるのはセクハラだとは思うのですが、触ってくる男性がイケメンなら、女性が不快に思わないので、セクハラにならないということも多いようです。
ハラスメント問題で、民事裁判を起こす場合は、やはり証拠が必要になりますので、こういった問題にお悩みの方がいらっしゃったら、動画などの証拠を取って、弁護士に相談するようにしましょう。
■死刑制度について
先日、1995年に起きた地下鉄サリン事件の首謀者、麻原彰晃こと松本智津夫氏の死刑が執行されました。
オウム真理教の幹部らも、同様に死刑が執行され、死刑制度の是非について、賛否両論があったようです。
死刑制度に反対する人たちは、人の命の尊厳を守るためということと、死刑を執行しても、あまり抑止力にはならないという意見が多いようです。
また、死にたい人が死刑になりたいために、凶悪犯罪を起こす場合があるというご指摘もあるようです。
私は死刑制度については賛成なのですが、確かに死刑になりたい人が凶悪犯罪を起こすというのは、あり得る話だと思いました。
お金が稼げない人が盗みを働き、刑務所の生活が快適だったからと言って、釈放されてもまた盗みを働くのと同じ理屈なのかもしれません。
死刑制度については、議論の余地がまだまだあると思います。
ただ、私が死刑制度に賛成なのは、抑止力というのもありますが、もっと重要なのは悪人を減らすということです。
このサイトで何度も書いておりますが、絶滅回避の多種多様性により、悪人がこの世から0になるということはあり得ません。
しかし、悪人を少なくすることはできますので、これを実行する必要があり、それには死刑制度があった方が良いと思うのです。
根っからの悪人は、更生することはありません。
こういった人間は、この世から排除した方が良いと思うのです。
終身刑というものもありますが、刑務所の収容人数の限界もありますし、管理などに税金がかかりますので、終身刑囚が多くなってくると、それだけ大変になってくるという問題が発生します。
また、脱獄される危険もありますので、終身刑も様々な問題が残ることになります。
この刑罰についての議論は、本当に難しい問題で、中国の歴史などを勉強している人はよくご存知かと思いますが、古来より何度も議論されてきました。
刑罰の例として、耳や鼻を削ぎ落としたり、足を切断したりする刑罰もありました。
また、入れ墨も刑罰が軽かった時代のものです。
この場合の入れ墨は、おでこなどに罪名を書くということがあり、「殺人」など書かれていれば、すぐにその人が何を犯した人が分かるようになっていました。
そのため、今でも入れ墨はイメージが悪いのかと考えられます。
人の命を奪わず、こういった刑罰を執行するという方法もあるのですが、やはり凶悪な犯罪については、死刑が最も有効とする国が多いようです。
もちろん、死刑制度のない国もあり、そういった国の凶悪犯罪率なども見ておく必要はありますが、国によって文化や人の性格の違いもありますので、その国ではその刑罰で良くても、他の国では適応しない方が良いということもあるでしょう。
私の意見は上の通りですが、まだまだ議論の余地はあるかと思いますので、皆さんも死刑制度についてぜひ考えてみていただければと思います。
■遺産相続
話は変わりますが、遺産相続についても様々な問題が発生することが多いようです。
遺産相続は、プラスの遺産だけでなく、マイナスの遺産も相続しなければなりません。
例えば、亡くなった父親の口座に1000万円残っていて、母親のいない一人っ子の息子がこれを相続するとします。
ところが、その他に家のローンの支払いが2000万円残っていたとしたら、これも相続しなければならず、結果的に1000万円のマイナスとなってしまうということになります。
この場合、口座の1000万円だけを相続することはできず、相続する場合は借金を含めて全ての遺産を相続しなければなりません。
トータルでマイナスになるなら、相続放棄ができますので、全ての遺産相続を諦めるという選択肢を検討する必要があります。
ただし、相続放棄できるのは、相続権利があることを知ってから3ヶ月以内と決まっています。
これは銀行側が、負債が返済されないと困るのて、死後1年くらい経ってから、借金がありますよと連絡してくる場合があるからだということです。
マイナスの負債を知ってから3ヶ月以内に相続放棄をするかどうかを決める必要があるので、銀行からそのような連絡があったらすぐに検討しましょう。
銀行側としても、借金が返済されないと困るので、わざと遅く連絡してくるのですが、その連絡があってから3ヶ月は相続放棄する権利があるということです。
また、遺言についてですが、これについては多くの人が勘違いしていることがあります。
相続についての遺言を書いたら、これが100%適用されると思っていらっしゃる方が多いようです。
例えば、父、母、息子二人の四人家族で、父親が遺言書を書いて亡くなって、その遺言書に、「末の息子に全ての遺産を譲る」と書いてあったとしましょう。
この場合、母と長男は、1円も貰えないのでしょうか?
法律では最低限、相続できる割合が決まっており、その法律を超える遺言書は有効にならないとなっています。
つまり、上の例の場合、母は遺産の50%、息子二人は25%ずつの遺産を相続する権利があり、これを超える遺言書は無効となり、末の息子が遺産の全てを相続することはできないということになります。
相続の問題は色々とあるのですが、別の例として、父親の死後、愛人が急に出てきて、その人の子どもを産んでいた場合、その子どもにも遺産を相続する権利があるのかという問題です。
この場合は、例えDNA鑑定書などがあって、愛人の子どもが、その男と血縁関係にあるという結果が出たとしても、死んだ男が認知してしなかった場合は、相続する権利がないということのようです。
このように、相続に関しては様々な問題が発生しやすいですが、いずれの場合も弁護士によく相談するようにしましょう。
イギリスで死刑が廃止された理由は、冤罪で死刑になった無実の男がいたからで、無実の人を殺さないほうが、悪人を殺すことよりも大切という判断だと思います。
コメントいただきまして、ありがとうございます。
そうでした。冤罪についての話が抜けておりました。
刑罰についての議論は全て冤罪ではない前提ですので、冤罪の場合はどうするかというのはまた考えなくてはいけませんね。
こちらは警察の捜査や裁判の精度を上げるという話になってきますので、また別途考察してみて、いずれ記事に書きたいと思います。
ご指摘いただき、ありがとうございました。