物事を多角的に考える30
前回に続き、様々な事例について多角的に考えてみたいと思います。
■アメリカ警察のデリバリー対応
先日のニュースですが、アメリカアリゾナ州メタという町で、子どもが警察番号の911に電話をして、「ハッピーセットをお願いします」と言って電話を切ったところ、警察がマクドナルドでハッピーセットを買って届けに行ったという話がありました。
警察は、その子に911の正しい利用方法を教えたということで、ネット上でも警察の対応に素晴らしいと称賛する声も挙がりました。
何とも微笑ましい出来事ではありますが、そもそもなぜ警察はハッピーセットを届けたのでしょうか?
警察も忙しいのに、わざわざデリバリーの代行をすることはないはずです。
サスペンスドラマや推理ものの話が好きな人ならすぐに勘づいたと思いますが、アリゾナ州警察は誘拐事件の可能性を考えたのかと思います。
つまり、子どもが誘拐され、誘拐犯が子どもにデリバリーを頼ませ、子どもがデリバリーを頼むフリをして警察に電話したのではないかということです。
この可能性を考え、デリバリーを持ってきたフリをして子どもを保護し、犯人も確保するというところまで考えたのではないでしょうか。
この場合、子どもが電話をした時に、もし警察に電話をかけていると犯人に気づかれてしまったら、殺されてしまう可能性があるので、あくまでデリバリーの注文を装って住所を伝えるため、警察側でも判断が難しくなるのでしょう。
本来は、その電話の時に警察が「何かトラブルに巻き込まれたのか?」と聞き、「はい」と応えさせて確認するものかと思うのですが、このケースでは、子どもが電話をすぐに切ってしまったため、確認ができなかったのかと思われます。
そのため、警察がデリバリーを届けて、子どもを保護するという算段だったのかと思います。
実際は、単なる間違い電話であったため、子どもに注意をして終わりましたが、本当に誘拐事件だった場合でも適切な対応だったと言えるでしょう。
■記憶喪失で性格まで変わるのか
よくドラマや映画などで、記憶喪失となった人が性格まで変わってしまう話がありますが、これはあり得るのでしょうか?
と言いますのは、性格は記憶ではないので、記憶喪失になったところで性格まで変わることはないと思われるからです。
もちろん、事故などのショックで記憶を失ったので、そのショックで性格まで変わったということは考えられますが、さほどのショックではなくても、性格が変わってしまう話もあります。
記憶喪失になるということは、記憶を司る脳の一部が損傷したということですが、自分の性格というのは、記憶しているわけではないので、記憶を喪失したところで性格まで変わってしまうというのは不自然なような気もします。
ただ、状況によってはあり得ない話とも言い切れないかと思います。
以前も別の記事で少し書きましたが、人の性格には先天的なものと後天的なものがあると考えられます。
先天的なものというのが、生まれつきの性格で、これはどのような環境や生活をしていても変わることがない性格です。
後天的なものは、環境や生活によって変化する性格のことです。
後天的な性格は、その人が生きてきた中で作られた性格ですので、記憶により作られた性格とも言えるかと思います。
そのため、記憶を失った人が、脳の損傷により後天的な性格の部分が無くなり、本来の先天的性格の部分が表れるということがあるかもしれません。
現実の記憶喪失では、様々なケースがあるようで、性格が以前と全く異なるようになったという事例もあるようです。
おそらく脳が損傷を受けてしまうので、脳が正常に動作しなくなって、幻覚を起こしたり、混乱が生じて後天的性格が無くなると同時に、別の性格まで表れてしまうのかもしれません。
このようなケースでは、脳の損傷が大きいと考えられので、ドラマや映画のように記憶や性格が戻るということは難しいでしょう。
もちろん、記憶だけは少しずつ戻るケースもあるかと思いますので、諦めずに根気よく接していれば改善する可能性はあるかと思います。
■人類の空白期間は何だったのか
最近のネットの話題で、人類の10万年の空白期間は何だったのかという話がありました。
人類が誕生してから、10万年の時を置いて、近年になって急激に人間が進化したわけですが、その10万年の間、人類は何をしていたのかということのようです
確かにごもっともなことで、今からでは想像も難しいことですが、まず人類誕生の歴史から見てみましょう。
今からおよそ400万年前に人類が誕生したとされていて、この時はまだ猿人という、猿に近い人だったと考えられています。
そして、約180万年前に原人、約50~20万年前に旧人、約20~4万年前に新人が誕生したとされています。
この間、猿に近いヒトから少しずつ現代のホモサピエンスになっていったということです。
この新人類が誕生してから、およそ10万年ほどの時を経て、約4000年ほど前に各地で文明が生まれ、急激に発展していったということになります。
この10万年の間、人類は何をしていたのでしょうか?
まぁ、これはほとんどの学者が言っていることとは思いますが、やはり脳の発達にこれだけの時間を要したのかと思われます。
ただ、新人類が誕生した時に、初めて口呼吸という進化を獲得したのではないかというのが、私の推測です。
これは別の記事でも書きましたが、人間は口呼吸ができるために言葉を話すことができるのです。
人間以外の哺乳類は、鼻と気管支、口と食道が交差していないため、鼻呼吸しかできず、鳴くことはできても言葉を発することができないのです。
そして、新人類が口呼吸を獲得したのは良いのですが、この進化が世界中の人類に浸透するまでに生まれ変わりを繰り返し、長い年月を要します。
さらに、口呼吸を獲得したからと言って、すぐに言葉が話せるわけではなく、当然言葉という概念から考えなければならないのです。
つまり、新人類が誕生した10万年ほど前は、ヒト型の猿であったわけで、脳も猿とあまり変わらなかったと考えられます。
そこから長い年月をかけて、口呼吸できる人類が広まり、人と人との伝達方法が考えられ、脳も少しずつ発達していったのかと思われます。
その間、口呼吸ができない個体は子孫を残すことができず、口呼吸を獲得して何らかの声を発していた個体だけが子孫を残したため、人類が全員言葉を発することができるようになったのでしょう。
ただ、オスとメスどちらかが口呼吸を獲得していれば、子どもも受け継がれる可能性があるので、必ずしも子孫を残す相手として選ばれないというわけではないかと思います。
10万年の間にそのようなことがあり、ようやく言葉というものができてきたところで、文明が生まれ、一気に人類が発展したのかと考えられます。
人と人との伝達手段が確立されれば、脳の発達も早くなりますし、連携して様々な道具も作れるようになったというのは容易に想像できます。
人類が発展できたのも、言葉を発することができるようになったからと言っても過言ではないはずです。
今、当たり前に発している言葉も、それにともなって発展した文明も、ご先祖様たちの苦労の賜物であることは覚えておきましょう。