物事を多角的に考える28
前回に続き、様々な事例について多角的に考えてみたいと思います。
■日本人の寿命
日本人の寿命は現在も世界一となっており、長年長寿国として知られています。
これは、食生活による影響が大きいものと思われます。
日本は味噌や納豆などの発酵食品を日常的に食べる習慣があり、この発酵食品が免疫力を高め、菌やウイルス、がん細胞から身を守ってくれているため、寿命が他の国よりも長いものと考えられます。
新型コロナウイルスによる被害が、欧米諸国に比べて少ないのも、この免疫力によるものでしょう。
しかし、これは平均寿命に限った話であり、健康寿命は世界一ではありません。
平均寿命は、死亡時の平均年齢のことですが、健康寿命というのは、寝たきりや要介護となった場合を除く、健康的に活動できる寿命のことです。
日本人は寝たきりや要介護となる老人が多いということです。
これは、免疫力によって病気に対しては強いものの、運動する習慣ある人がそれほど多いわけではないため、健康寿命は長くならないということでしょう。
病気によって寝たきりになる場合もありますが、運動をしない人は、筋力が衰えて転倒して骨折や怪我をしやすくなるなどで、要介護者になる人も多いのです。
寝たきりや要介護とならずに、健康的に生きるためには、日頃からの運動をした方が良いということです。
また、日本の男性の寿命として、独身男性の方が既婚者よりも短いというデータもあるようです。
これは、恐らく独身男性は自分の健康管理が難しいからではないかと思われます。
独身で忙しい会社通いの生活が続けば、食生活も乱れ、運動する時間も取れずに、健康管理ができなくなる人が多いということかもしれません。
既婚者の場合は、妻が食事を作ってくれる場合も多く、しっかりと栄養管理をしてくれて、他の家事をやってくれていれば、運動する時間なども確保しやすくなるということかと思います。
最近は、不況のせいで共働きも増えてきていますし、さらに独身男性も健康管理を自分でできるようになっていれば、またデータも変わってくるかもしれませんが、現状のデータとしては、老後の20~30年より前の生活をしていた人が死亡したデータとなるので、そのようなデータが出てくるのでしょう。
また、男性の寿命が女性よりも短いというデータがありますが、これは仕事のストレスによるものかと思われます。
毎日満員電車で会社に通って、会社でも家庭でも人間関係によるストレスを受け続けていれば、寿命は縮んでしまいます。
業務内容によっては危険な仕事もあり、仕事中の事故などで命を落としてしまうという可能性も男性の方が高いのでしょう。
これらも、男性が仕事をメインにしていたためでありますが、昨今の共働きによって、少しずつ寿命の差も埋まってくるかもしれません。
寿命のデータを見ると、生活習慣や何が健康にとって良いかなどが見えてきたりするので、こういったデータを見て分析や解析をしてみるのも良いかと思います。
■お店の過失範囲
以前ニュースで、スーパーの床にかぼちゃの天ぷらが落ちていて、それを踏んで転倒して怪我をしたので、裁判にスーパーを訴えた事例がありました。
この裁判は、スーパー側に過失があったとして、賠償命令が出たのですが、この判決はおかしいと思われます。
店側の安全管理を怠ったという判断のようですが、もし誰かが故意に天ぷらを置いたとしても、店側の過失なのでしょうか?
こんなものがまかり通ってしまうなら、線路に誰かがいたずらで石を置いて脱線事故が起きた時に、走っていた電車が注意を怠ったと言っているのと同じかと思います。
恐らく、その天ぷらは客の誰かが落としてしまったものと思われますが、スーバーの店員も忙しいのに、床に何か落ちていないかを常に見張っていろというのは無理な話です。
また、注意を怠ったという意味では、被害者も同様でしょう。
怪我をされた被害者のことを悪く言うのは気が引けますが、被害者が歩行先か足元を注意していれば、避けられた事故です。
止まっている車に歩行者がぶつかっておいて、運転手に文句を言っているのと同様かと思います。
スーバー側にも管理不行き届きがあったにせよ、厳重注意程度に留めるべきであり、賠償命令という判決は厳しいというどころか、理不尽というのものです。
このような判決をしていては、同じように賠償金目当ての当たり屋のような人が、今後も増えてくる懸念が生じます。
裁判員の方々には、多角的に物事を見ていただいた上で、冷静に判断をしていただきたいものです。
■皆勤賞はない方が良いのか
こちらも少し前の話題ですが、ネットの話題で、皆勤賞はない方が良いという議論がありました。
皆勤賞があるせいで、有給休暇が取りづらくなり、出席するのが善で欠席するのが悪になってしまうという意見のようです。
会社で有給休暇が取りづらくなるということですが、有給休暇を消化しても、皆勤賞はもらえるのではないでしょうか?
有給休暇を取らせないと、労働基準法に違反するので、会社が罰せられてしまいます。
なので、会社によって判断は異なるのかもしれませんが、ほとんどの会社で、有給休暇以外の全ての出勤日に出席をしていれば、皆勤賞となるのではないかと思います。
そもそも、有給休暇を除いたとしても、それ以外の全ての出勤日に、何十年も休まず出勤し続けたというのは、それだけで称賛に値すると思います。
アメリカのように、いつ出勤しても結果さえ出してくれれば良いという自由な社会にしてほしいという意見のようですので、それは分かるのですが、表彰するしないは、表彰をする側の自由なのではないかと思います。
社会に貢献してくれた人に対して感謝状を贈るのも、感謝をしている人の心を形にしたものです。
また、出席を善、欠席を悪のようにしているというのは、全く違うと思います。
例えば、スポーツなどでも上位者に表彰状が贈られますが、表彰状をもらえなかった人は、悪とか負け犬とかそういうことではないはずです。
学校や会社で全て出席したということは、その人が健康管理ができていて、一度も休むことなく勉強や仕事に励んでくれたということでそれを称賛したものです。
それができなかったからダメな人というわけではなく、あくまですごい人を褒め称えただけのことです。
そんなすごい人を褒め称えるのは止めろと意見するのは、被害妄想が強いということになってしまいます。
日本がアメリカのように、成果主義となって、いつでも自由に出勤できるようになれば、それは良いことかもしれませんが、皆勤賞を止めたところで、簡単にそうはならないかと思います。
成果主義というのは、実力主義なので、実力がない弱者を見捨てる社会となり、助け合い精神の強い日本では、そのような社会になりづらいのかと思います。
皆勤賞という論点から、成果主義のことまで論じるのは、なかなか視野が広いとは思いますが、物事を多角的にとらえる視野も必要かと思います。
色々な人の意見を聞いた上で、何が最善かを判断するようにしましょう。