経営者目線で考える14
前回に続き、経営者目線で様々な問題について考えてみたいと思います。
■ホワイト企業とは何か
昨今はブラック企業とかホワイト企業などと言われて、会社の厳しさが判断されることがありますが、多くの人が求めるであろうホワイト企業については、よくよく考えてみる必要があるかと思います。
ホワイト企業というのは、福利厚生や給料などの待遇もよく、社員の人たちも温厚で残業もないというイメージかもしれませんが、そういった企業は数ある会社の中でもごくわずかしかありません。
大抵の中小企業は、経営状態が想定よりも良くないところが多いので、ホワイト企業を目指したくてもできないのが現状かと思います。
これは実際に会社経営をした人でなければ分からないかもしれませんが、多少、社員に厳しくして残業などもしてもらわなければ売上を上げることが難しいというのが普通でしょう。
完全なホワイトのまま利益を上げ続けるというのは、非常に難しいことなのです。
もちろん、一部の大手企業ではそういった本当のホワイト企業のようなところもあることはあります。
ネットで騒がれるような、「ここはブラック企業だ」とか、「転職してホワイト企業に入りたい」というような発言は、怠慢な人が多いのではないかとも思います。
要するにホワイト企業に入って楽をしたいという考えに他ならないと思われるからです。
本当のホワイト企業は、例えば大手IT企業グーグルのように、社員は仕事を自由にやることができて、福利厚生も充実していて、給料も良いというところだと思いますが、こういったところは入社条件が非常に厳しいのです。
数十年前ならそれほどではなかったかもしれませんが、現在ならTOEIC何点以上の英語力であったり、多数のプログラム言語が扱えることであったり、コミュニケーション能力や積極性などのテストがあったりもして、並の人間には入社は難しいものです。
つまり、ホワイト企業が良いというような人は、ブラック企業の厳しい環境で働くことができず、自分の能力のなさを会社のせいにして文句を言っているだけなのではないかと思うのです。
もちろん、本当に給料や残業等が厳しい会社であったり、上司が理不尽に仕事を押し付けてきたり、パワハラを行うようなところもあるとは思いますが、そういったところでも、優秀な人はバリバリと仕事をこなすことはできます。
近年の若者は、忍耐力が足りない人が多いように見受けられますので、すぐにSNSなどで文句を言って、自分を鍛えるようなことをしない傾向にありますが、将来のために今は耐えて頑張って働き、後に力をつけて他のことをしたり、別の場所で働くなどを考えるようなことも必要なのではないかと思います。
■吉本興業問題
少し前に、吉本興業の芸人が詐欺集団など反社会勢力の会合に参加し、金銭を受領したとしてニュースとなっていました。
この時、吉本興業の社長が、当事者の芸人に謝罪会見をするなと言われ、芸人たちは独断で謝罪会見をし、そのことについてや社長のパワハラにも触れていました。
結局その後、社長自身も謝罪会見をし、芸人たちを謹慎処分等などして、現在は落ち着いたようです。
しかし、なぜ吉本興業の社長は、芸人が謝罪会見をするのを止めたのかが分からないという方も多くいらっしゃるかと思います。
これは、経営者目線で考えなければ分からないことだとは思いますが、社長が謝罪会見を止めたのは、吉本興業という会社を守るためでしょう。
謝罪会見をしてしまうと、どうしてもそれがニュースとなり、多くの人に知られてしまうことになります。
芸人というのは、イメージ商売ですので、このイメージが悪くなると、スポンサーが離れていってしまうことになります。
例えば、スポンサーがCMを制作する際に、誰を起用するかを考える時、こういった問題を起こした芸人を使うより、他の人を使った方が良いということになります。
スポンサーの会社の人たちが吉本興業に悪いイメージがなかったとしても、一般の人に悪いイメージが植え付けられていると、CMが逆効果になってしまう可能性があり、やはり問題のない芸能人を使ったほうが無難という判断になります。
社長はこういったイメージ低下を避けるために、パワハラを行ってでも謝罪会見をするなと止めたのだと思われます。
結果的に、芸人たちが勝手に謝罪会見をしてしまい、さらにパワハラ問題を暴露するなど、返って吉本興業のイメージ低下が倍増する形となってしまいましたが、この問題については、このような経営者目線でなければ、見えてこない問題かと思います。
契約についても、吉本興業と芸人の間に明確な契約が交わされていないという問題も出ていました。
通常、会社を守るために、何か芸人に不手際や犯罪行為などがあった際は、契約解除するというような契約書のようなものはあるとは思うのですが、これについてはどうだったか分かりません。
ただ、芸能事務所にとっては、芸能人よりもスポンサーの方が大切な存在であることは間違いないとは思います。
雇っている芸能人は替えが効く場合が多いですが、スポンサーが離れていってしまっては、倒産の可能性も出てきてしまうのです。
社長はあくまで会社を経営する立場であり、芸人は商品、スポンサーは顧客に当たります。
芸人ファーストではなく、スポンサーファーストになってしまうのは、社長としてもやむを得ないことだったとは思います。
こういった問題を考える際は、ぜひとも社長の立場に経って、経営者目線で考えてみるようにしましょう。
■徳井氏の所得隠し問題
同じく吉本興業の問題ですが、先日、芸人チュートリアルの徳井氏が、自ら経営する会社の所得隠しでニュースになっていました。
この問題について、徳井氏は自らの会見で、「想像を絶するだらしなさ」と言っており、滞納していた税金と追加徴税を納めたことで終わったようです。
これについては、私もちょっと納得のいかない部分があります。
所得隠しの税金額が億を超えており、うっかり忘れたというレベルではないにも関わらず、追加徴税を納めた程度で治まっているのがおかしいのです。
通常の会社で、億を超える税金を納めていないのであれば、悪質と判断され、脱税容疑などで即刻逮捕されるような話です。
これは、恐らく徳井氏が人気のある芸能人であるため、逮捕をすれば批判を浴びるかもしれないと地方検察局が判断したのかもしれません。
しかし、有名な芸能人であるなら、なおさら逮捕をしなければならなかったと私は思います。
別に私が、徳井氏のことが嫌いというわけではなく、むしろ好きな芸能人ではありましたが、逮捕しなければならないと思うのは、前例を作ってしまうからです。
億を超える所得隠しが発覚したにも関わらず、忘れていましたの一言で、逮捕されずに済んでしまうと、他の中小企業が申告をしなくなる恐れがあるからです。
ほとんどの企業は、そんなことはないとは思いますが、昨今の不景気で経営が苦しい会社も多く、多額の税金は納めたくないと考える社長は少なくありません。
何億もの所得隠しが発覚したのに、逮捕されずに済んだというニュースを聞けば、自分も税金を納めず、バレたら「忘れていました」と言って納めれば良いと考える社長がどれほど出てくるのか、私には分かりかねます。
こういったことを防ぐため、有名人だからこそ見せしめのために、逮捕する必要があるのです。
私も社長ですし、きちんと税金を納めてはいますが、何か不公平感があるように思えてなりません。
警察や地方検察の方々には、どんな人であって公平に扱ってほしいものです。