物事を多角的に考える19
今回も前回に続き、様々な事例を違った視線で考えてみたいと思います。
■飛行機のオーバーブッキングについて
何度かニュースで報じられて聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、飛行機のオーバーブッキングが問題となっています。
最近では、定員オーバーとなった飛行機内で、抽選で飛行機に乗れなくなった乗客が、降りるのを拒否して暴行したり、口論となったケースがあります。
そもそも、なぜ飛行機はオーバーブッキングをしてしまったのでしょうか?
これは、航空会社としては難しい問題で、毎回どのフライトも約1割ほどのキャンセルが出てしまうため、少し多めに予約を取ってしまっているためです。
通常はキャンセルがそれ以上に出るので問題ないのですが、たまにキャンセルが少ないと、オーバーブッキング状態となり、乗客にキャンセルをお願いする場合があります。
それでも定員オーバーの場合は、抽選でキャンセルする乗客を決めて、強引にキャンセルしてしまうようですが、その乗客がどうしても降りられない場合に、このような問題が起こってしまうことがあります。
客側の立場ですと、キャンセルを想定して定員オーバーで予約を取るなんて言語道断だとなるかと思いますが、航空会社としては、常にキャンセルが出てしまうため、空席で飛行機を飛ばすよりも、キャンセルを想定してオーバーブッキングを承知で予約を取らないと、採算が取れなくなるということです。
ただでさえ、世の中の景気が悪く、海外旅行者も減ってきて、格安価格で運営しているところも多いですし、1回のフライトで燃料や整備費などを考えると、無駄な空席なく飛行機を飛ばしたいという考えるのは当然と言えます。
こういったことがあるので、解決は難しいのですが、キャンセル待ちを2段階にすれば良いのではないかとも思います。
予約受付時に、定員に達したら、キャンセル待ちとして、1段階目は恐らくキャンセルが出て乗れるが、乗れない可能性もあるというキャンセル待ちにして、想定しているキャンセルの1割の予約を超えたら、2段階目のキャンセル待ちとして、キャンセルが多かったら乗れるが、可能性は低いというキャンセル待ちにするということです。
1段階目で諦めてしまう人がいると思うので、キャンセル待ちというよりは、乗れない可能性があるという予約という名称にすれば、誤解も減るかと思います。
こうしておけば、乗客側にも心の準備はできると思うので、万が一乗れないとなってもキャンセル依頼を拒否するようなことは減るかと思います。
難しい問題ではありますが、お互いのトラブルを避けるためにも、航空会社にはより良い対策を打ち出してほしいものです。
■人の好みは十人十色
少し前のネットニュースで、ドラゴンボールを読んでない若者が、他の人から漫画を読むことを勧められて読んでみたら、あまり面白くなかったという感想があって、賛否を巻き起こしたことがありました。
私もドラゴンボールは子どもの頃に熱中した世代なので、信じがたいことではありますが、これについてはお互いの言い分も分かります。
人の好き嫌いというのは千差万別であり、100人中99人が面白いと言ったものでも、残りの1人は全く面白くないと思う人がいるということです。
このことにしては、このサイトでも何度も書いておりますので、省略しますが、全員が全員同じ考えではないということは、肝に銘じておきましょう。
そもそも、そのドラゴンボールを読んだことがない若者というのは、元々そういったものに興味がないから、それまでの人生で読んでいなかったのであり、こういった人に無理に勧めても面白くはないはずです。
元々そういった漫画に興味があるなら、自分から見つけて読んでいるはずなのです。
もちろん、単にその人が気づかずに、勧められて初めて知って、読んでみたら面白かったというケースもあるとは思います。
ただ、可能性としては低いと思いますので、興味がない人に無理に勧めるのは避けた方が良いでしょう。
私も、多くの人が面白いと言った映画を観ても、あまり面白いと思わなかったことが何度もあります。
それよりも、観る人が少ない中世のファンタジーものとかの方がよほど面白いということが多々ありました。
もちろん、私の好みがそういったものであるからですが、万人受けしているからと言って、全ての人が好きになるわけではないということです。
人の好みは十人十色ということは覚えておきましょう。
■なぜドーピングしてはいけないのか
「なぜドーピングがダメなのか?選手の力を最大限に発揮させるための手段の一つして、許可しても良いのではないか?」
と言うスポーツ選手がいたようで、ある意味斬新な考え方ではあると思いました。
確かに一理あるとは思いますが、やはりドーピングは許可すべきではありません。
ドーピングをしてはいけない理由として、薬漬けにしてしまうと選手の身体に悪影響があるというのもありますが、最大の理由としては、ドーピングを許可した競技は、選手の力ではなく、どれだけ効果の高い筋力増強剤などの薬を開発したかの、研究者同士の争いとなってしまうからです。
ドーピングが許可されれば、当然選手たちも、より良い薬が欲しいと、薬の研究者に要求することになります。
薬の研究者ももちろん、金儲けと選手のためにと、研究をどんどん進めることになるでしょう。
こうなってくると、選手の力はもはや関係なく、どれだけ素晴らしい薬を開発したかの、研究者の戦いとなってしまうのです。
これはもはやスポーツではありません。
こういった理由でドーピングは禁止されていますので、特にスポーツ選手の方は覚えておきましょう。
■剣道のガッツポーズ
剣道の試合で、勝った時にガッツポーズをすると、無効試合と判定されてしまうことがあります。
勝った時くらいは、ガッツポーズくらいは良いではないかとも思いますが、やはり武道の精神が受け継がれているものは、こういった厳しいルールが課せられているものが多いようです。
球技などの他の競技でガッツポーズすることは、何の問題もないですが、古くからある日本の武道では、ガッツポーズをすると無効となってしまうことがあるようです。
これは、やはり剣道などでは、人を斬りつけておいて喜ぶというのは、武道の精神に反するということだからでしょう。
剣術の教えとして、憎しみや快楽で人を斬ってはならないというものがあります。
剣を振るうのは、誰かを守るためであり、人を殺すためではないとするのが、武道の心得です。
なのに、試合とは言え、人を斬りつけておいてガッツポーズをするというのは論外ということなのかと思います。
こういった人物は、武道の精神を心得ていないと判断され、無効とされるのでしょう。
なぜガッツポーズがダメなのかを問う前に、まず武道の精神を理解しているかを自問自答する必要があるということです。
柔道や相撲などでも同様かと思いますので、こういった選手になりたいと思う人は、肝に銘じておきましょう。