言葉を知る6

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前回に続き、間違いやすい日本語などを少しご紹介させていただこうと思います。

 

■熱にうなされる?

風邪を引いて、高熱で苦しい時、
「熱にうなされる」
という表現をする方がいらっしゃいますが、正しくは、
「熱に浮かされる」
です。

恐らく「悪夢にうなされる」から誤用してしまう人が多いようなのですが、そもそも「うなされる」の意味は、悪夢などを見て苦しくて声を漏らすような状態のことを言うので、「うなされる」というのは夢くらいしかないということのようです。

「熱に浮かされる」は、高熱が出てうわごとを言うという意味ですが、「浮かされる」というのは熱などで意識がはっきりしなくなるというところから来ているようです。

「浮かされる」には、心から熱中するという意味もあるようなので、「熱に浮かされる」には非常に物事に熱中した状態という意味もあるようです。

知らないと誤用してしまう表現なので、セットで覚えておくようにしましょう。

 

■怒り心頭に達する?

非常に怒りがこみ上げてきた時、
「怒り心頭に達する」
と言う方が多いと思いますが、こちらも間違いです。

感じとしては、怒りが心や頭まで達するほどだという意味で使っているのかと思いますが、正しくは、
「怒り心頭に発する」
です。

「怒り心頭に達する」
だと、相手の怒りが心や頭まで達してしまうという意味に捉えられかねません。

怒りは、心から発するものですので、
「怒り心頭に発する」
が正しい使い方です。

こちらは非常に間違いが多い表現となっておりますので、注意しましょう。

 

■押しも押されぬ?

よく安定しているという意味で、
「○○さんは押しも押されぬ人気があるよね」
という言い方をしている方がいらっしゃいますが、厳密にはこの表現も間違いです。

正しくは
「押しも押されもせぬ」
です。恐らく
「押すに押されぬ」
と混同してしまっているのかと思われます。

両者とも同じ意味で、びくともしないとか、安定したという意味の表現です。
「押しも押されもせぬ」は、押すことも押されることもないという意味で、
「押すに押されぬ」は、押そうとしても押すことができないということですね。

「押しも押されぬ」という表現では、文法的に意味が通らないものになってしまいます。

少しややこしいですが、間違いがないように、しっかり覚えておきましょう。

 

■取り付く暇もない?

間違いが多い表現に、
「取り付く暇もない」
というものがあります。

正しくは、
「取り付く島もない」
です。

語源としては、航海に出たものの、近くに島がなく、休息ができないというところから転じて、相手が頑固で説得できる余地がないという意味になったようです。

「取り付く暇もない」
という表現では、説得する時間がないのかという意味に捉えられてしまいかねませんので、間違えないように注意しましょう。

 

■破天荒

「破天荒」の本当の意味を誤解していらっしゃる方が多いようです。

「破天荒」の意味は、今までなし得なかったことを初めて行うことで、前人未到と同じ意味です。
文字としても、荒れた天を破るというところからも分かるかと思います。

芸能人などの影響から、豪快とか、派手、大胆という意味で誤解していらっしゃる方も多いかと思いますが、本来の意味は前人未到という意味なのです。

例としては、
「こんな斬新なアイディアを出すとは破天荒な男だな」
というのが正しい使い方かと思います。

使い方の例からも分かるように、前人未到を成し遂げた人を破天荒と言ったところから、豪快とか大胆と誤解してしまいやすいのかと思われます。

こちらも間違わないように注意しましょう。

 



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