法の基礎
私は理系ですし、弁護士などでもないので、法律には詳しくないのですが、知識のために本などで法律の勉強をすることはあります。
ここでは、法律について、簡単な説明をさせていただこうと思います。
■法の種類
一言で法と言っても様々あり、どういうものがあるのかを知っていても、明確に説明ができないという方も多いと思います。
それも仕方のないことで、弁護士ですら、全ての法を覚えているわけではありませんし、事実上それは不可能です。
と言いますのも、法は複雑で膨大な量となっておりますし、毎年、法も変わっているので、全てを覚える意味がないのです。
弁護士になるための国家試験も、六法全書の持ち込みが必須となっており、弁護士になるために、六法全てを覚える必要がないことを示しています。
弁護士は、もちろん必要最低限の法は覚えますが、法律の読み方を知っているプロフェッショナルということになります。
トラブルなどの相談があれば、どんな法律が適用されるかを六法全書で調べて、法廷で争うというのが主な仕事になるということです。
法は、憲法、民法、会社法(商法)、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法があり、これがいわゆる六法と呼ばれるものです。
法律は憲法を除いた法の総称となります。
法律は、国会で法案を通して、可決されれば新しい法律が制定されます。
もちろん、内容を変更したり、削除する場合も同様の手順を踏みます。
また、地方自治体が定めるものを、条例と言います。
条例は、各地方自治体が定めるものです。
■憲法
憲法は、国民の人権を守るために制定されたものです。
戦後、日本とアメリカによって調整されてきたので、アメリカにとって都合の良いようにされた部分もありますが、現在までしっかり守られてきていると言えると思います。
誤解されていらっしゃる方も多いと思いますが、憲法というのは、国民が守るためのものではなく、国会に適用されるものです。
つまり、個人的に誰かに対して「あなたの言動は憲法違反だ」と言うのは間違っているということになります。
国民が守らなければならないのは、法律の方です。
法律は、国会で制定され、国民はそれを守らなければならないということです。
これは、国会があらぬ方向に行ってしまって、国民に不公平な法律を定めたり、無益な戦争をしたりしないようにするために憲法というものが存在しているということです。
国会議員は、選挙によって選ばれますので、国民の代表とも言える国会議員たちは、憲法を守って法律を定めなければならないのです。
憲法は国民が制定するものとされています。
と言っても、誰かが勝手に憲法を定めるということではありません。
新しい憲法を作成したり、憲法を変更する場合も、国会が提案することになりますが、国会の3分の2以上の賛成と、国民投票によって過半数の賛成が必要と決められています。
このため、簡単には憲法を変えられないようになっています。
憲法を変更することは、国の命運を変えるということにもなりかねませんので、当然のことと言えると思いますが、やはり憲法も完璧とは言えないので、不完全な部分は変えていく必要があると私は思います。
■民法と会社法
民法というのは、国民同士の契約などに適用される法律です。
契約と言っても、企業間の契約のようなものばかりではありません。
皆さんがコンビニなどで買い物をする場合でも、売買契約は成立しているのです。
売買契約でも、訪問販売や不適切な勧誘行為など、民法に違反する場合は、取り消せる場合があります。
また、企業間の契約であっても、民法に違反している契約は認められず、裁判所に訴え出れば無効となる場合があります。
何か不利な契約をさせられてしまった場合でも、自分で法律を調べたり、弁護士に相談するなどして、民法をうまく活用するようにしましょう。
民法は、人の物に対する権利や、家族間の問題に関わるもの、相続についてなどを取り決めた法律です。
会社法は、昔は商法とされていましたが、株式会社の取り決めのことです。
民事訴訟法は、民事裁判を起こすための手続きの取り決めのことです。
国民同士のトラブルを解決するために、民事裁判は行われますが、民事裁判は刑事裁判と異なり、和解を目的としており、真実を追求するわけではありません。
つまり、真実が明らかにならなくても、対立している両者が和解できれば、それで良しとされます。
真相は闇の中でも、和解金で解決されることもあるということです。
■刑法
刑法は、人権を侵害する人の罰を定めたものです。
例えば、「どんな人でも人を殺してはならない。違反したものは、懲役刑に処す」などが定められています。
実際に犯罪者を捕まえたり、裁判を行ったりする手順の取り決めは、刑事訴訟法の方になります。
人権を守るというのは、人を傷つけたり、人の所有物を盗んだり、破壊したりすることから守るということになります。
他人の人権を侵害した場合は、刑法に触れる可能性があるので、十分に注意しましょう。
精神病などで、本人の意思ではなく、罪を犯してしまった場合は、罪を問われないことがあります。
この場合は、医師の診断が必要ですし、その後は精神病院に入院などの措置がとられますが、罰せられないということになります。
これを利用して精神病のフリをする犯罪者もいるので、裁判ではよくよく見極めなければならないということです。
また、罪を犯した人が「そういう法律があるとは知らなかった」と言った場合でも、罰せられてしまいます。
本当に知らなかった場合は、減刑されることはありますが、処罰からは逃れられません。
加害者が法律を知ってたか知らなかったかは、被害者が害を受けたことに変わりないことであり、被害者にとっては関係のないことです。
つまり、我々はどんな法律があるのかを知っておく必要があるということになります。
もちろん、全ての法律を覚えることはほぼ不可能ですが、基本的に刑法というのは、他人の人権を侵してはならないというものですので、そこだけでも注意しておくようにしましょう。