言葉を知る
今回は間違いやすい言葉や、勘違いの多い言葉についての解説を少ししてみたいと思います。
■役不足と力不足
非常に間違いが多く、かつ逆の意味になってしまうのが、役不足と力不足です。
自分のいたらなさを表現したいのに、
「そんな重大なことを私がやるなんて、役不足ですよ」
という間違いを本当によく聞きます。
読んで字のごとく、力不足は自分の力が不足しているとなりますので、分かりやすいと思いますが、恐らくこちらを言いたい時に、役不足と間違って使っているのかと思います。
役不足というのは、役が不足しているということですので、自分の力量では役が不足しているということは、その仕事が物足りないとか、大した仕事ではないということになります。
つまり、全く逆の意味になってしまうのです。
前後の文脈から、力不足と言いたいのは分かるのですが、非常に多い間違いですので、使う時は気をつけるようにしてください。
■気を遣うと気を使う
これは間違いではないようなのですが、ネットの文章やテレビのテロップなどでも、「気を使う」という書き方をよく見かけます。
正しくは「気を遣う」だと思うのですが、「気を使う」という書き方でも間違いではないようです。
「気を遣う」というのは、相手を思いやることで、「気を使う」と書くと、自分の気持ちを使うので、他人の機嫌を取る時などに使うという説がありました。
ただ、気持ちを使って、相手の機嫌を取ると言っても、相手を思いやることには変わりないことで、気を遣うと書いても間違いではないように思えます。
意味を調べたところ、「使う」は物を役立てることで、「遣う」はあやつるとか、お金や時間を費やすという意味になるそうです。
「派遣」や「遣隋使」に遣うがあるのは、人をあやつるという意味で使われているのかもしれません。
「使者」や「大使」には使うがありますが、こちらは人を使うという意味があるのかと思います。
「無駄にお金を使う」というのは、先ほどの意味から考えると「お金を遣う」でも正しいのかもしれません。
一応、こういった違いはあるのですが、「気を遣う」と「気を使う」に関しては、どちらの書き方が良いかは難しいところかと思います。
辞書には「気を遣う」は載っていますが、「気を使う」という書き方では載っていませんでした。
「気を使う」と書くと、アニメやゲームによくある気功波の類を使うという意味の方が近い気もします。
「遣う」の意味からは、他人の心をあやつるからなのか、他人のために時間を費やすからなのかは分かりませんが、書き方としては、「気を遣う」と書いておいた方が無難かと思います。
■不老不死と不老、不死身と無敵
よく不老不死という言葉を聞きますが、不老不死と不老は明確に違います。
不老は単に歳をとらず、若いままでいられるということですが、不老不死は、歳をとらないし、死ぬこともないという意味になってしまいます。
つまり、不死身です。
現実世界では、不老は医学の発達などで将来的に実現できる可能性はありますが、不老不死は不可能です。
なぜなら、不老であっても、肉体が消滅すれば、必ずその生命は死ぬからです。
不老不死というのは、フィクションの世界の空想にすぎず、若いままで不死身になるという設定として作られたものかと思います。
歳をとらないけど、死ぬことがあるのであれば、不老不死ではなく、「不老」と表現するべきかと思います。
また、ゲームなどで、アイテムを取り、無敵となったのに、画面から落ちて死んでしまった時、
「何で無敵なのに死ぬんだよ」
という台詞をよく耳にしますが、これも無敵と不死身を混同しているものかと思います。
無敵という言葉は、敵無し、つまり敵がないと言えるほどに強いという意味です。
不死身ではありませんので、無敵の人であっても、崖から落ちて死ぬことはあるということです。
■美人と美女
美人と美女は、実は微妙な違いがあります。
「美人」と言うと、単に美しい女性という意味になります。
昔は美しい男性にも使われたことがあったそうですが、今は女性にしか使われないようです。
対して「美女」と言うと、男性から見て、魅力的な女性という意味になります。
つまり、外見も美しく、お付き合いや結婚もしたい女性という意味も含まれることになります。
男性から女性を見た時、キレイとは思うけど、結婚したいとは思わないという場合に「美人」と表現するということになるかと思います。
ただ、全ての男性が意味を知っていて使い分けているわけではないと思いますので、あくまで本来の意味としてということになります。
日本語は、複雑で分かりにくいことも多々ありますが、こういった言葉の意味を知ることで、勘違いなどを防ぐことができるかと思いますので、少しずつ覚えていくようにしましょう。