政治について思うこと5
前回に続き、政治について私が思うことを少し述べさせていただこうと思います。
■全てを暴露した方が良いのか
昨今、ニュースで話題になっている築地市場を豊洲に移転する問題ですが、建物の下に盛り土がされてなく、地下から汚染物質が出てきたことで大問題になっています。
現都知事が暴露したことで、都知事は大きく評価されたようですが、これで本当に良かったか、私は疑問に思います。
もちろん、隠蔽体質は良くないことですし、全てを公にして政治も行われるべきかと思います。
ただ、この問題を暴露した後、現都知事にはその後の改善策が無いように、今のところは見受けられます。
この問題を暴露したことで、豊洲ブランドに大きく傷がつき、海外や国内の小売店も、豊洲とは一切取引しないというところが続々と出てきてしまい、築地市場にいる人たちも大ダメージを受けています。
いわゆる風評被害ですが、ニュースで報道されているよりも、現地の人たちには深刻な問題のようです。
このまま強引に築地から豊洲に移転しても、市場の信頼を取り戻すには、かなり時間がかかるものと思われます。
かと言って、もう豊洲移転を止めようとしても、すでに豊洲に建物が作られてしまっているため、その建設費用やその後の建物の処理をどうするのかという大問題が残ります。
つまり、進むも地獄、引くも地獄の状態になってしまっています。
このようなことになるのであれば、むしろこの問題を暴露せずに豊洲に移転し、この問題については水面下で解決していった方が良かったのではないかとも思ってしまいます。
いずれは問題が暴露されてしまうかもしれませんが、連日ニュースで報道されて、風評被害が拡大している現状よりはマシかと思います。
盛り土と汚染物質の問題については、水がどこから来ているのかを調査してそれを塞ぎ、地下空間はそのままにして、汚染物質が通らないような強力な素材で床を作るのが良いかと思いますが、これについては私は専門家ではないので分かりません。
いずれにしましても、問題を暴露してしまったことで、取り返しのつかない問題となってしまったことは間違いないでしょう。
都民には、暴露したことが評価されているようですが、築地市場で働く人たちのことを考えると、手放しでは喜べません。
隠蔽体質は良くないことではありますが、全てを暴露すれば良いというわけでもありません。
例えば、2011年東日本大震災があった時、福島第一原発でメルトダウンが起きていましたが、政府や東電はしばらくこれを隠蔽していました。
もし、事故当時すぐにメルトダウンを公表していたら、どうなっていたでしょうか?
福島の原発の近くに住んでいる人たちは、大地震と津波の被害を受け、命からがら生き残ったのに、被爆して死ぬかもしれないという恐怖を受けてパニックになり、殺人やレイプが横行した可能性があります。
結果的には、チェルノブイリの原発事故ほどはひどくないので、被害はそれほどではなかったようですが、この時のように隠蔽しておいて、落ち着いた頃合いを見計らって公表した方が良かったように思われます。
もちろん、チェルノブイリ並に被害が拡大しそうであれば、いち早く公表して多くの人を逃した方が良いのかもしれませんが、住民のパニックを考えると判断は非常に難しいと言えるでしょう。
つまり、事の重大さによっては、隠蔽しておいた方が良いということもあるということです。
判断は難しいですが、暴露する際は、暴露した後にどうなるかをきちんとシミュレーションし、その後の対策を考えておくことです。
もし、暴露しない方が良いと判断した場合も、隠蔽した結果どうなるかを考える必要があります。
また、永遠に隠蔽し続けるのも良くないので、いつ公表するのかも決めておくことです。
■税金の用途内訳を公表する
時には隠蔽も必要な場合もあると書きましたが、税金の使い途と内訳に関しては、全てを公表していただきたいとは常々思っております。
現在はホームページで簡単に公開できるわけですから、少しずつでも良いので、これらを公開していってほしいものです。
以前も書きましたが、我々は税金を納める際、個人も法人も確定申告書として、納める税金を1円単位まで自分で計算し、税務署に提出して税金を納めています。
会社員の人は、会社が代わりに行っていることが多いので、あまり知らない人も多いかもしれませんが、源泉徴収税として毎月引かれているものが国に納める税金で、住民税は別途、次の年に引かれています。
こういったことを会社の人事の人が、従業員の給料を計算して会社が代わりに納めているわけです。
これらは全て細かく計算され、少しでも間違いがあれば税務署の人に指摘されてしまいます。
これに対し、納められた税金を何にいくら使っているのか、大まかな割合は出されていますが、細かい内訳が全くないというのは、あまりに不公平です。
なるべく細かく使い途と内訳をホームページにでも公開してくれれば、ニュースの記者や国民が、不正がないかや使途不明金がないかなどをチェックしてくれるでしょう。
これは、国も地方自治体も同様です。
昨今、領収書の偽造などが発覚して問題になっていますが、こういったものも公開することで、悪意のある政治家が減ることになるかと思います。
また、これをすることで、税金の無駄な支出が分かるという効果もあるでしょう。
政治家が、会社の経営者のようにお金の使い方に関して、プロフェッショナルであれば何も心配はないのですが、恐らくそういった方は少ないと思われますので、色々な方に税金の用途を見てもらうというのは非常に有効なことです。
国民が納めている税金ですので、その使い途を国民がチェックするというのは、ある意味当たり前ではあるのですが、不正使用が多いためか、なかなか公開してはもらえないようです。
国民がいくらこういったことを要求しても、政治家が自分で自分の首を絞めるようなことはしないとは思いますが、皆さんが少しずつ声を挙げていくことで、変わっていくかもしれません。
■国会議員や公務員の取り締まり
国会議員や公務員が不正をしても、すぐには逮捕されません。
これは、国会議員や国家公務員が、警察の上司に当たるということがあり、これらを取り締まるのは検察とされています。
しかし、この検察も内閣の管理下にあるので、きちんと機能していないというのが実情のようです。
我々民間人は、不正をすればすぐに逮捕されるのに、国会議員や公務員がなかなか逮捕されないのは不公平な話です。
政治家の政治資金の不正使用が発覚しても、辞めれば済むというのがパターン化されてしまっていますが、この流れを変えるためにも、政治資金規正法を即刻改善すべきでしょう。
民間人は、万引きをして捕まった時、品物を返したり、お金を支払っても、万引きしたという罪は消えず、逮捕されてしまいます。
しかし、政治家の政治資金流用は、お金を返したので罪はありませんというような態度が、どう考えてもおかしいように思えます。
政治資金規正法の厳罰化は、政治家自身が自分の首を絞める行為となりますので、絶対に行う人はいないかもしれませんが、我々もこういった知識を持って常に声を挙げ、また、少しでも改善してくれそうな党や人に投票するように、みんなが考えていかなければならないことなのかと思います。