物事を多角的に考える5

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今回も様々な事象について、多角的に考えてみたいと思います。

 

■イスラム国人質事件を考える

2015年1月、イスラム国による日本人の人質事件が起こるという衝撃的な出来事がありました。
結局人質となった二人は殺されてしまいましたが、少しこの事件について、私の考えを述べてみたいと思います。

まず、なぜイスラム国が日本人を拘束し、人質としたのかですが、これはイスラム国が二人をスパイと考えていた可能性があるということです。
二人の日本人男性はジャーナリストで、戦場となっている場所を取材して、世界中の人たちにそれを伝えるという仕事をしています。

もちろん、それをイスラム国にも説明していますし、我々もその通りだと思っていますが、わずかながら本当にスパイであった可能性も実はあります。
アメリカのCIAなどが、疑われにくい日本人ジャーナリストと契約し、イスラム国の軍事状況などを密告させていたという可能性も0%ではないのです。

当然、こういったスパイ活動は、家族にも友人にも知らせませんし、口が裂けても真実は言えないので、真相は闇の中ということになってしまいます。
イスラム国としても、もし本当にスパイだった場合、どのくらいの兵士がどの場所にいて、どのくらいの食料や武器があるなどの情報がアメリカなどに知られてしまっては脅威となるため、下手に解放できなかったと思われます。

そのため、この日本人ジャーナリストを殺すしかなかったのですが、いきなり二人を殺してしまっては世界中の反感を買うだけですので、莫大な身代金を日本に要求したと考えられます。
当然、身代金が高すぎるので、日本が承諾するはずもなく、思惑通り人質は殺されました。
こうすることで、身代金を支払わなかった日本にも、世界の人たちの怒りの矛先を向けるという効果が多少はありました。
と同時に、イスラム国を日本の人たちにも認知させ、宣伝活動にも利用したとも考えられます。

それと、身代金を要求した時の映像ですが、ニュース報道番組の解析で、合成されていた可能性が高いという指摘がありました。
確かに、影の向きや風などから、身代金要求を話すイスラム国の人と、人質の二人は、別々に撮られて、合成されたものと思います。

ただ、それは人質が何らかの方法で暗号などを伝えるのを防ぐためで、合成されているからと言ってあまり意味はないものです。
人質の二人は、何時間も何もない状態で撮影され続け、話す人は、同じ場所で別に撮影されたと考えられます。
そして、人質が何もメッセージを伝えていない部分を切り出して合成したと思われます。

こういったことが真実だったとしても、我々日本人や政府にはどうすることもできなかった事件と思われます。
今も戦場に行く日本人ジャーナリストの方がいらっしゃいますし、その使命感はとても立派なことだとは思いますが、人質となって政治利用されてしまう危険もあるため、重々そのことを考慮していただきたいと思います。

 

■ステップを踏む

何か大きなことをするには、ステップを踏むということが重要です。
「ローマは一日にして成らず」という言葉にもある通り、いきなり大業を成すことが難しければ、ステップを踏んで少しずつ前進することが必要です。

大きなプロジェクトをまかされた時で、全てを一気にやることが難しい場合、フェーズを分けるという方法も有効です。
例えばシステム開発で、納期までに全ての機能ができないと分かった場合、1フェーズ目で納期までに必要最低限の機能だけを作り、2フェーズ目で残りの開発を行うなどです。

マイナンバーも同様にステップを踏んでいるものと思います。
マイナンバーは、国民一人ひとりに番号を割り当て、各役所のデータを統合し、一括管理するというものですが、やはり一気に統合することは難しいと思われます。
そのため、まずは国民に割り当てたマイナンバーを、各役所のデータに割り当て、その後、徐々にデータを統合していっているものと思われます。

現在は、各役所にマイナンバーを割り当てた段階と思われ、まだデータの統合まではできていないため、便利さは実感できていません。
が、徐々にデータの統合が行われれば、例えば引っ越しをした際、一ヶ所に届け出れば、全ての役所に反映されることになるので、複数の役所に届け出る必要がなくなるはずです。

他にも、独立して会社を作ろうと思っても、やることが多くて挫折してしまうこともあるかと思います。
しかし、それもステップを分けて、最初は独立するための知識を身につけ、次のステップで資金を集め、次のステップで起業の手続きを進めて・・・といった具合に分けて、一つずつステップをクリアするようにすれば、実現できる可能性が高まります。

ステップを踏むことについては、恋愛も同様でしょう。
好きな人にいきなり告白したり、肉体関係を迫ってしまったら、嫌われてしまう可能性も高いですが、デートを重ね、時間をかけることで、うまくいく可能性も高まるかと思います。

どんな大事も、一気にやろうとすればなかなかゴールが見えてきませんが、ステップを分けて、一つずつステップをクリアするようにすれば、実現できるかもしれませんので、行き詰まってしまったら、このことを思い出してみていただければと思います。

 

■間(あいだ)を取る

日常生活などでも二択を迫られることがあると思いますが、間を取ることも必要です。
コンピューターの世界では0と1しかありませんが、人間の世界では0か1だけではありません。
本当に選択肢が二つしかないかを、よく考えてみるようにしましょう。

例えば、つい先日、小学校の組み体操で、ピラミッドを何段にもして高くしすぎたため、崩れてけが人が出てしまい、組み体操を禁止するという規制が検討されていますが、全ての組み体操を禁止するのはいかがなものかと思ってしまいます。
確かに、あまりに高いピラミッドは危険なので、止めた方が良いとは思いますが、その他のものまで禁止する必要はありません。

こういった場合は、ピラミッドは5段まで、タワーは3段までのような制限をかけるのが良いかと思います。
他にも危険な組み体操があるのであれば、都度考慮して制限をかけるという必要があります。
ルールが複雑化するという問題はありますが、全てを禁止してしまうと、子どもの教育が不十分になりかねません。

先日、認知症の人が電車事故に遭い、JRが監督義務のある認知症の家族に損害賠償を請求するという裁判がありました。
1審では損害賠償が認められ、2審では監督義務のあった人だけに損害賠償を命じられ、最高裁では逆転無罪となりました。

そもそも、認知症の人の介護が大変で、しかも事故で亡くしてしまったのに、その遺族に対して損害賠償を請求すること自体、ひどい行為とも思えますが、JRとしても多額の損失を被ったのは事実であり、やむを得ない面もあります。

ただ、遺族に監督義務が一切ないとした最高裁の判断にも疑問が生じざるを得ません。
これが通例となってしまうと、認知症の介護を放棄する人が現れる危険性もあり、こういった事故が増えてしまいます。
とは言いましても、遺族に対して損害賠償を全額払わせるのも酷なので、間をとって少額の賠償金の支払いを命じるか、監督義務はあるものの、遺族の状況を考慮して損害賠償は免除するなどの判断の方が良かったかと思います。

別の事例として、先日FBIが凶悪犯罪者のiPhoneのロックを解除してほしいとAppleに裁判所から命じられ、それを拒否するということがありましたが、これも難しい問題です。
結局、FBIが第三者機関に頼んでアンロックしたという報道があり、解決したようですが、これも間を取ることができなかったのかと考えてしまいます。

同じIT業者として、Appleの「他のユーザーのiPhoneを脅威にさらしてしまうからできない」という意見も分かるのですが、マスターキーのようなものをAppleを保持していても良いのではないかと思いました。
つまり、マスターキーとなるアンロックするソフトウェアを開発してFBIに渡すのではなく、Appleがそのソフトウェアを保持して必要に応じて使うという条件で開発するのが良かったのではないかと思うのです。

難しい事例が多いですし、必ずしも間を取れるのかや、間を取るのが最善なのかは分かりませんが、ケースによって様々なことを考えて対応策を生み出していってほしいものです。

 



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