協調性と個性

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人間というものは、誰しも周囲の人に同調しやすい部分もあるものです。
ここでは、群衆に合わせる協調性と、個の力を引き出す個性について少し考えてみたいと思います。

 

■協調性

自分ではそう思っていなくとも、周囲に意見を合わせたがるという人は多いものです。
特に日本人は協調性が高く、現代風に言えば空気を読める人になりたいというのも、同じ理屈かと思います。

協調性を確かめる面白い実験を聞いたことがあります。
あるグループの人たちに簡単な選択問題を出題するのですが、被験者以外は仕掛け人で、順番にわざと間違った解答をして、被験者が最後に答えさせ、被験者が周囲に合わせるかどうかを見るというものです。

そのクイズは、棒の長さがA、B、Cのどれと同じかといった微妙なものではあるのですが、よく見れば答えは分かるような問題です。
正解はCなのに、仕掛け人は全員Bと答え、最後に被験者が答えるという実験です。

その結果、約8割の人が周囲に合わせて間違えであるBと答えたとのことです。
つまり、ほとんどの人は間違いかもしれないと思いつつも、周囲の人が全員Bという解答だったので、それが正解かもしれないと思ってしまい、自分もBを解答してしまうとのことです。

そういった流れも無視して、自分が正解と思ったCと答えるという方がいらっしゃったら、それは自分を信じることができ、信念を貫ける貴重な人かと思います。
こういった人は、頭の良い人や、我が強い人で、周囲の意見に惑わされない傾向にあると思います。

もちろん、周囲に合わせてしまうという人がダメというわけではありません。
周囲に意見を合わせてしまう人は、協調性を重視し、周囲に敵を作らないようにすることができる人物です。

協調性を重視する人は、空気を読むことができ、上司に命令されたことも従順にこなしてくれるので、リーダーにとってはとてもありがたい存在です。
個性を発揮できる人は、逆にリーダー向きと言えるでしょう。

 

■周囲に合わせる方が楽

周囲に意見を合わせてしまう人が多いのは、その方が楽というのもあります。
周囲の人と意見が食い違ってしまうと、当然対立が生まれたり、口喧嘩から争いに発展するかもしれないからです。

我が強い人や頭の良い人に意見を合わせておけば、少なくともその人からは反感を買わず、無用な争いを避けることができるのです。
同じ意見の人が多ければ多いほど、敵が減ることになり、自分の安全も保たれることになるのです。

現在では、敵といっても殺し合いになるようなことありませんが、もっと戦国時代のような時には、自分の生命も危険になるかどうかの重要な判断となるのです。
「長いものには巻かれろ」ということわざにもあるように、強い者に人が集まって、それに合わせた方が自分の安全を確保できたために、協調性の高い人の方が、現在でも多くなっているのかと思います。

ただ、こういった協調性重視の人は、自分の意見を主張できないという短所があるのも事実です。
自分が正しいと思う意見があったとしても、それを言ってしまうと、敵を作るかもしれないという不安から、あまり意見を述べなくなってしまうのです。

周囲に意見を合わせて、穏便に進めることも重要ではありますが、誰かが間違っていると思ったら、勇気を出して意見を述べることも必要かと思います。

 

■個性の重要性

一方、個性を発揮できる人というのは、信念が強く、頭の良い人である可能性が高いものです。
周囲の意見と異なる言動をする人は、遠ざけられたり、変人のような扱いを受けたりすることもあるのですが、こういった人物は時として貴重な存在かと思います。

協調性を重視する人は、意見の過多で判断せず、誰が正しいかを冷静に判断して、どの意見に合わせるかを決めるようにした方が良いでしょう。
一人だけ意見が違っていたという状況でも、その人が最も良い意見を述べているのかもしれません。

また、変人のような言動をしていても、本当に変な人なのか、言っていることは素晴らしいものなのかをよく聞いて判断しましょう。
天才というのは、得てして変人が多いのです。

科学的にも、天才と呼ばれる人たちは、脳障害が起きている可能性が高いと実証されています。
脳障害が起きているために、言動がおかしくなることがあるのですが、ある特定の分野では天才的な能力を発揮できるというものです。

まぁ、こういった人は滅多にいないのですが、頭の良い人は自分の意見を論理的に述べたりします。
話が難しいと、この人はおかしいのではないかと思ってしまう人も多いのですが、よくよく本当におかしいのか、それともとても賢いやり方なのかどうかを判断する必要があるでしょう。

本当は、こういった頭の良い人や、信念が強い人に意見を合わせた方が良いのです。
協調性が強い方の人は、冷静に誰に意見を合わせるのが良いかを判断するようにしましょう。

また、自分が個性を発揮するタイプの人は、リーダータイプと言えますので、周囲の人を引っ張っていけるように努めましょう。
リーダーとなった人は自分が間違えていないかどうかを常に気をつけて、リーダーシップを発揮していただければと思います。

 

■リーダーと部下

個性を発揮できる人はリーダータイプで、協調性を重視する人は、それに従う人と分類できるかと思います。
会社の組織などでも、どちらか一方のタイプしかしないというような場合では、会社は運営していけないでしょう。

どんなグループでも、リーダーと部下が必要です。
リーダーだけの組織では、意見の対立ばかりでとても成り立ちませんし、リーダーがいないという組織だと、まとめることができる人がいないので、方向性が定まらなかったり、全員がバラバラのことをしてしまうという状況にもなりかねないでしょう。

部下となる人が多いのも、協調性の時と同様、部下の方が楽だからと言えます。
部下は、リーダーの命令を実行していれば、自分があまり考えなくとも言われた通りにするだけで良いのです。

逆に指揮する人は自分で考えて、部下に指示をしなければならないので、その場その場で判断力が必要であり、さらに先を見通す力も必要となってきます。
どんなグループでも、多かれ少なかれ、そのような決断をしていかなければなりませんので、リーダーとなる人は苦労が絶えないことになります。

もちろん、部下だからどんなことも楽というわけではありませんが、自分で判断したり、責任を負わなくても良いという部分はあります。
ただ、やはりリーダーが間違った行動をしていたら、勇気を出して意見を述べることは必要かと思います。

 
協調性を重視する人と、個性を発揮する人は、どちらも必要ですし、どちらかが多すぎたり少なすぎたりするのもバランスに欠け、組織として成り立ちづらくなります。
自分がどちらのタイプなのかをしっかりと把握し、どのように振る舞っていけば良いかを考えてみていただければと思います。

 



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