人の立場に立つ
何かを考える時や、誰かと会話をする時に、人の立場に立って考えると、相手の考えが分かったり、仕事や人間関係を良好なものにできたりするものです。
常に人の立場に自分を置いてみる考え方を身につけましょう。
■人に好かれる話術ができる
会話をしている相手の立場に立って、考えてから話すようにすると、相手から好かれやすくなります。
相手が何かを質問してきた時、どのような返答をすれば相手を喜ばすことができるかを考えている人は、好かれやすくなります。
例えば、妻が夫に
「今日の夕食は何が食べたい?」
と聞いてきた時、
「何でも良いよ」
という返答では相手も困ってしまうでしょう。
この時、素直に自分の食べたい料理を言っても良いですが、もっと相手の立場を考えるなら、
「君の得意料理がいいな」
とか
「鍋がいいかな。手間もかからないし、おいしいから」
など相手が喜びそうなことを言うことができればより良いでしょう。
コツは、その言葉を自分が言われて、自分も嬉しいかを考えることです。
会話ですから、長い時間考えることはできないので、なるべく早くどんな言葉が良いかをシミュレーションする必要があります。
これには訓練が必要ですので、何気ない友達との会話などでも、常にこのことを気にすると良いと思います。
また、ドラマや映画を見る時に、自分を登場人物に置き換えてみるというのも、訓練になるかもしれません。
もちろん、質問された時でなく、自分から話しかける時でも、少し褒め言葉を入れたり、笑い話を入れたりすることで、相手を喜ばすことかできます。
自分が何か言葉を発する時は、常にその言葉が相手にとってどう受け止められるかを考えるようにすると良いでしょう。
■人の気持が分かる
自分を他人の立場に置き換えることで、人の気持が分かるようになります。
他人の悪口を言ったり、他人が嫌がるようなことをしてしまった場合、もし自分が他の人から同じことをやられたら、自分はどう思うかを考えてみましょう。
子どものいじめや、家族内、会社内のいじめなども、いじめの被害を受けた人の立場に立って考えれば、どのような気持ちかが分かるでしょう。
いじめている本人が、自分のいじめに気づいていない場合がありますので、そういった気持を察することは重要です。
推理小説、推理ドラマなどでも、自分が加害者の立場に立って考えるのも有効です。
自分が加害者だったら、なぜそのような殺人を行ったのかや、犯行後どのような行動を取るかを犯罪者目線で考えれば、結果が見える場合があります。
現実の事件でも同様に、加害者の立場に立つことで、真実が見えることがあります。
まぁ犯罪者の考えなど分かりたくないという気持ちはあると思いますが、警察の捜査でも使われる手法ですし、犯罪者によっては、やむを得ない理由があるかもしれませんので、犯罪者の立場に立つということも時には必要です。
様々な人の立場に立つことで、他人の気持ちを察することができます。
他人の立場に立って考える習慣を身につけ、人の気持ちが分かるように心がけましょう。
■ビジネスの交渉術
相手の立場に立って考えるのは、ビジネスでも有効です。
重要な取引先と交渉する時は、相手の立場に立って考えると、円滑に進みやすくなります。
打ち合わせでの会話などでもそうですが、契約内容などにも、相手を喜ばせるようなものを付加すると、契約が取りやすくなるかもしれません。
例えば、自社と契約してくれれば、その後のメンテナンス費用を格安にするなどです。
営業などでも、相手の立場に立つことが重要です。
ひたすら自社の商品を勧めているだけでは、あまり契約は取れないでしょう。
相手の立場を考え、どういった会社の悩みがあるのか、どういった商品が必要なのかを聞き出して、その対策を一緒に考えるなどを実践することで、顧客の信用を得て契約に結びつきやすくなります。
何かお客様からクレームがあった時、単に面倒だなと思うのではなく、お客様の立場から考えて、なぜこのようなクレームを出したかを真剣に考えましょう。
自分が実際に商品やサービスを使ったとして、どのような問題があったのかを考え、真摯に対応すれば、問題なく処理できるかと思います。
日本人は、相手の立場に立って考えるのは得意な方だと思いますので、ぜひビジネスにも活かしていただければと思います。
■政治や外交
政治でも、もちろんこの相手の立場に立つということは非常に重要です。
政治家同士のことではなく、国民の立場に立つということです。
今の政治家たちは、自分や自分の党のことしか考えていないような人が多く、国民の意見に真剣に耳を傾けるような人はいないように見受けられます。
国民あっての政治なので、このような態度は感心できません。
直接国民の声を聴くのももちろん必要ですが、今はインターネットがありますので、ホームページ等で広く国民の意見を募集し、よく判断する必要があるでしょう。
もっとも、それをやると膨大な意見を処理しなければならなくなるので、国民の意見を整理する人が必要になるかと思います。
ただ、どんな意見が多いかや、非常に優れたアイディアを抜粋して、政治家に伝えるということができれば、より良い政治につながると思います。
まぁ今の政府は汚れきっているので、真剣にそのようなことをする政治家はいないと思いますが、国民の大勢がそういった事を知ることで、より良い政党に投票し、政府を変えることは不可能ではないと思いますので、国民のみなさんも意識していただければと思います。
また、外交についても相手国の立場に立つということは非常に有効てす。
三国志時代の蜀の軍師諸葛亮は、相手の軍師の立場に立って考えるのが得意な人で、これにより相手の戦術が見えるため、戦いに勝ちやすくなります。
相手の軍師と言っても、自分と同じ考えをするとは限りませんので、その軍師の性格や考え方を知っていなければなりません。
諸葛亮はそういったことも得意で、よく人を観察したり、その人の情報を集めて分析し、その軍師ならどのように動くかを読みます。
敵軍の動きが分かれば、自軍の勝利に導くことは簡単になります。
そういった理由で、諸葛亮という軍師は非常に優秀だったのです。
外交でも同じで、相手国の立場に立ったり、相手国のリーダーの立場ならどのような行動、発言をするのかを考えることで、良好な関係を築くことができるでしょう。
現在、北朝鮮の拉致問題が進展しつつありますが、これも北朝鮮の立場に立って真剣に考えれば、おのずと答えが見えてきます。
なぜそのような行動を取ったのかも分析すれば、結論は出てきますので、下手に出て経済制裁を解除するという行動はいかがなものかと思ってしまいます。
デリケートな問題なので、北朝鮮を下手に刺激すれば、両国の関係が最悪なものになってしまう可能性があるため、あまり無闇な行動はできないかもしれませんが、相手国の立場に立って考えることで、見えないものが見えてくると思いますので、政治と関係ない人でも少し考えてみると良いと思います。
このように、相手の立場に立って考えることは、様々な場面で有効です。
ぜひ、日頃からそのことを心がけて訓練していただければと思います。