言葉を知る23

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前回に続き、間違いやすい日本語などを少しご紹介させていただこうと思います。

 

■独壇場と土壇場

「独壇場」を「どたんば」と読む方が多いようですが、正しくは「どくだんじょう」です。
「どたんば」は「土壇場」と書きます。

「独壇場」というのは、一人舞台という意味で、集団の中で一人だけ活躍するような時に使います。
「土壇場」というのは、かつて斬首刑を行っていた場所のことで、最後の決断をする時などに使います。

字が似ているので、読み方を間違える方が多いようですが、両方ともしっかり覚えておくようにしましょう。

 

■突拍子もない

「突拍子もない発言」というと、どういう意味になるでしょうか?

急に今までの話と関係のない発言をした時に使う方もいらっしゃるかもしれませんが、話を変える時に使う言葉ではありません。

そもそも「突拍子」とは、今様歌で急に高くなる歌い方とのことで、ここから調子はずれとか、度はずれという意味になっています。
しかし、それなら「突拍子もない」は調子がはずれていない、つまり普通という意味のような気もしますが、この「ない」は否定の意味ではなく、接尾語ということです。

なので、「突拍子もない」も普通でないとか、途方もないなどの意味になります。
「突拍子もない発言」というのは、普通でない発言とか、とんでもない発言という意味になりますので、今までの話と関係ない話を突然しだしたという意味ではありません。

勘違いされていた方は、間違えないように注意しましょう。

 

■一段落の読み方は?

「一段落」は「ひとだんらく」でしょうか?それとも「いちだんらく」でしょうか?

正しくは、「いちだんらく」です。
「ひとだんらく」と読み方が非常に多いですが、基本的には誤読になります。

あまりにも誤読が多いので、一時期「ひとだんらく」という読み方も辞書に載ったことがあるそうですが、今は削除されているようなので、「ひとだんらく」は誤読となっているようです。

基本的には、音読みと音読みの組み合わせとなるということを覚えておくと良いでしょう。
「ひと」は訓読みですが、「いち」は音読みで、「だんらく」も音読みですので、音読みと音読みで「いちだんらく」になります。

ただ、「一安心」や「一苦労」は「ひと」と読みますので、訓読みと音読みの組み合わせになるものも少なくはありません。
あくまで、例外はあるもものの、音読みと音読み、訓読みと訓読みの組み合わせが多いということで覚えておきましょう。

 

■同音で意味の異なる漢字

以前も書きましたが、続きとして同音で意味の異なる漢字を少しご紹介させていただこうと思います。

「油」、「脂」の違いは、「油」が植物性の油で、「脂」が動物性の脂のことです。「油」の方はサラダ油やオリーブ油などがあり、「脂」は牛脂や豚脂などがあります。

「食料」、「食糧」の違いは、どちらも食べ物のことですが、「食料」は食べ物全般を意味し、「食糧」は主に米や麦などの主食を意味します。

「舟」、「船」の違いは、「舟」は手で漕ぐような小型の舟のことで、「船」は風や電動を動力とする大型の船を意味します。

「道」、「路」、「途」、「径」の違いは、「道」は人や車が行き来する道のことで、「路」は道の形状のことや、広い道を指す場合に使います。「途」は途中の過程や、手段を表す時に使います。「径」は小さい道を意味します。

「混ざる」、「交ざる」の違いは、どちらも複数のものを合わせる時に使いますが、「混ざる」は液体同士など混ぜた後に、元のものが判別できない時に使います。「交ざる」の方は、固体同士など交ぜた後に、元のものが判別できる場合に使います。

「個体」、「固体」の違いは、「個体」は個々の物体を意味し、「固体」は液体、気体に対して固形の物質を意味します。

「獲物」、「得物」の違いは、「獲物」は狩りなどで獲得した動物などを意味し、「得物」は得意とする武器を意味します。

「慈愛」、「自愛」の違いは、「慈愛」は他人に対して慈しむ心を意味し、「自愛」は自分を大切にすることを意味します。相手の健康を思いやる言葉として、「どうかご自愛ください」と書く場合は、「自愛」の方を使います。

「伸びる」、「延びる」の違いは、「伸びる」は物体が長く伸びる時に使い、「延びる」は作業などに時間がかかって時間が延びる時に使います。

「望む」、「臨む」の違いは、「望む」がその人の欲望や願いを意味し、「臨む」は目の前にすることを意味したり、試合に臨むなどその状況に当たるなどの意味になります。

「歌う」、「唄う」、「詠う」、「謳う」、「謡う」、「唱う」の違いは、「歌う」は歌を声に出して歌う時に使い、「唄う」は日本の伝統的な長唄や小唄を唄う時に使う場合が多いです。「詠う」は感情を持って詩を詠ったり、感動を込めて言葉を述べる場合に使います。「謳う」はあることを盛んに言い立てるという意味で、商品広告で謳っているのように使います。「謡う」は謡曲などを謡う時に使われ、「唱う」は詩などを声を出して読む時に使います。

「真」、「誠」の違いは、「真」は真実を意味し、「誠」は誠意を意味します。

「荒い」、「粗い」の違いは、「荒い」は動きが激しい時に使い、「粗い」は細かくなく、おおざっぱという意味になります。

「則る」、「法る」は、どちらも同じ意味で、法律に則るなど規則に従う場合に使います。

「恨む」、「怨む」、「憾む」の違いは、「恨む」と「怨む」は誰かを憎む時に使いますが、「怨む」の方がより思いが強い場合に使います。「憾む」は自分に対して残念に思う場合に使います。

まだまだ同音で意味の異なる漢字がありますが、続きはまた別の機会にご紹介させていただこうと思います。

 



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