言葉を知る17

0 Comments


前回に続き、間違いやすい日本語などを少しご紹介させていただこうと思います。

 

■言わぬが仏?

何も言わない方が時として好都合なこともある、という意味のことわざは、
「言わぬが○」
何でしょうか?

「言わぬが仏」と答えた方は、間違いです。
正しくは、「言わぬが花」です。

「知らぬが仏」ということわざもあり、これと混同してしまっているのかと思われます。
「知らぬが仏」は、不愉快な事実を知ってしまうと、腹を立てたり悩んだりもするが、知らなければ仏のように穏やかでいられるという意味で、知らない方が良いこともあるということです。

言葉も似ていますし、意味も似たような感じなので、しっかり区別しておく必要があります。
「言わぬが花」と「知らぬが仏」はセットで覚えておきましょう。

 

■恋と愛の違い

「恋」と「愛」の違いはご存知でしょうか?

「恋」は、基本的に男女間のみのもので、一時的に感情が高ぶり、相手のことが好きでたまらなくなる状態のことです。
ただ、同性同士であっても、胸の高まりやときめきのようなものがあれば、「恋」と言えるかもしれません。

「恋」は一時的なものですので、長い期間、一緒に過ごしていると、慣れてきて冷めてしまう人も多いかと思います。

これに対して「愛」というのは、ある人や物を好きになって大切にしたり、守りたいと思うことです。
「愛」は男女間以外にも、同性愛、家族愛、兄弟愛、動物愛などがあります。

その人の好みなので、愛は基本的に長期間もしくは一生涯続くものです。
愛を深めるには、信頼関係や時間が必要になったりします。

このように、「恋」と「愛」には明確な違いがあります。
「恋愛」という言葉は、その両方の意味が含まれているということでしょう。

結婚をする前は「恋」をしている状態で、結婚してからは「愛」に変わると言う方もいらっしゃいますが、意味を考えればそうなる人が多いというのもうなずけます。
逆に、恋はしたけど愛にはならなかったというケースもありますので、こういったカップルは結婚後にうまくいかないことが多いのかと思います。

ちなみに、「可愛さ余って憎さ百倍」という言葉がありますが、愛が深いほど裏切られた時の憎さも深くなるということです。
関心がない人に裏切られても、もともと思い入れがないので、感情の落差は浅いですが、親しい人に裏切られるほどショックが大きくなり、その分憎さも大きくなってしまいます。

話がそれましたが、「恋」と「愛」の違いについて、誰かから聞かれることもあるかもしれませんので、覚えておくと良いかもしれません。

 

■同音で意味の異なる漢字

以前も書きましたが、続きとして、同音で意味の異なる漢字を少しご紹介させていただきます。

「同志」、「同士」の違いは、「同志」が目的や主義が同じ人で、「同士」は関係性が同じ人です。例えば男だけで単にチームを組めば「男同士」ということになりますが、ある目的で集まってチームを組んでいるなら「同志」ということになります。

「一堂」、「一同」の違いは、「一堂」は一つの場所という意味で、「一同」は人の集まりという意味です。「一堂に会する」は一つの場所に集まるという意味なので「一堂」を使いますが、「生徒一同」のように生徒のみんなという意味では「一同」を使います。

「元」、「素」、「下」、「基」、「本」の違いは、「元」は物事の始まりなど過去のことや場所を示します。「素」は原料や素材を指します。「下」は影響や制限を受ける範囲を指します。「基」は土台や根拠となる事を指します。「本」は物事の根幹を意味します。
「基」と「本」の使い分けが難しいですが、「基」は礎のようなものを指す時に使うので、「経験に基づく」のように使い、「本」は根本を指すので、「臭いの本を絶つ」のように使います。

「思考」、「指向」、「志向」、「嗜好」の違いは、「思考」は考える時に使い、「指向」はある方向に向かう時に使います。「志向」は考えを一定の対象に向けることで、「芸術家志向」のように使います。「嗜好」は好みや趣味のような意味で使います。

「想像」、「創造」、「想造」の違いは、「想像」は頭に思い描く時に使い、「創造」は新しいものを作り出す時に使います。「想造」というのは造語のようで、一般的に使われる言葉ではないようです。「想造」の意味としては、頭に思い描いたものを作り出すことのようで、「想像」と「創造」の両方を組み合わせたもののようです。

「貯める」、「溜める」の違いは、「貯める」はお金に関するものを貯める時に使い、「溜める」はそれ以外の時に使います。「水を溜める」もそうですが、「不満を溜める」もこちらを使います。

「昇る」、「登る」、「上る」の違いは、「昇る」は物が高いところに移動する時に使い、「登る」は人や動物が木や山などに登る時に使い、「上る」は高いところに移動する場合や数値が大きくなる場合などに使います。「上る」の方は、人や物などいずれに使っても問題ないようです。

「降りる」、「下りる」の違いは、「降りる」は乗り物から降りる時に使い、「下りる」は低いところに移動する時などに使います。
「降る」、「下る」の違いは、「降る」は「軍門に降る」など降伏する時に使い、「下る」は低いところに移動する時などに使います

「精算」、「清算」の違いは、「精算」は請求された金額を支払い時に使い、「清算」はけりをつけたり後始末をつける時などに使います。

「蛯」と「海老」にも違いがあり、「蛯」は泳いで移動をするエビで、「海老」は海中を歩いて移動するエビというように使い分けがあるそうです。

日本語は同音で意味の異なる漢字が非常に多いですが、他にもあればまた別の機会にご紹介させていただこうと思います。

 



関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを投稿する

メールアドレスが公開されることはありません。メールアドレスを入力すると、返信があった時に通知されます。
※が付いている欄は必須項目です。

※コメント送信前に以下をご確認ください。

コメントは承認制になっております。
どんどんお気軽にコメントを投稿していただいても構いませんが、記事の内容と関係ないものは掲載されませんので、ご注意ください。
逆に、記事の内容に沿っていれば、どんな批判的なコメントでも受け入れさせていただきます。

私自身、未熟なことは重々承知しておりますので、批判的なご意見を書き込んでいただくのは大いに結構なのですが、どこをどう改善すれば良いか分からないコメントも多いため、できましたらどの部分がどういった理由でダメなのかや、改善策も述べていただけますと幸いです。