言葉を知る14

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前回に続き、間違いやすい日本語などをご紹介させていただこうと思います。

 

■確率と倍率

よく、
「その可能性は200%ない」
などと言うのを聞きますが、この言い方はおかしいです。
その言い方をするなら、何%がマックスなのか?と質問をしたいです。

確率の話をするなら、最大値は常に100%であり、それを超える%を出すなら倍率ということになります。
つまり、
「売上が昨年比の200%になった」
という言い方なら正しいのです。
この場合、売上が昨年の2倍になったという意味になります。

理系なら、確率と倍率の違いはよく理解しており、混同するような言い方はしないはずです。
なので、この間違いは文系独特のものなのかもしれません。

「十二分」という言い方があり、「十分にある」という言い方よりも強い表現なのですが、これが120%のことと勘違いしているのでしょう。
この「十二分」というのは、水量などがたっぷりある「十分」よりも多く、あり余るほどあるという時に使うものであり、120%という意味ではありませんし、120%だったとしても、それは倍率なので確率ではありません。

この勘違いから、120%よりも多い200%とか、「1000%あり得ない」などという言い方をしてしまったものかと思われます。
確率の話なら、常に100%がマックスですので、「可能性は100%ない」と言った方が信頼度が高くなります。

0~100%の間でも、倍率の場合があるので、確率か倍率かの判断は間違わないようにする必要があります。
理系の方なら間違うことはないと思いますが、特に文系の方は勘違いをしないように注意しましょう。

 

■バトルロイヤル?

複数人が全ての人と同時に戦い、一人の勝者のみを決める方法を、「バトルロイヤル」とか「バトルロワイアル」という言い方をします。
この2つの違いは何でしょうか?

スペルは「Royal」と書きますが、「ロイヤル」は英語読みで、「ロワイアル」はフランス語読みだそうです。
紛らわしいですが、フランス語読みの方は「ロワイヤル」ではなく、「ロワイアル」です。

なので、「バトルロイヤル」も「バトルロワイアル」も、どちらも正しいということになりますが、どちらを使うか迷う場合は、英語読みの「バトルロイヤル」で良いと思います。

「バトルロイヤル」の語源も様々な説があり、はっきりとはしていません。
私の想像としては、「Royal」が王立という意味ですので、王のために生き残った者を護衛として採用する試験を、バトルロイヤル形式で行ったというところから来たのかもしれません。

「バトルロワイアル」の言い方も一般的に普及しているので、フランスでそのようなことが行われていて、それが他の国にも伝わったという可能性もあるでしょう。
本当に語源が諸説あるので、一つの説として聞き流していただければと思いますが、語源や意味から考えれば覚えておきやすいとは思います。

 

■同音で漢字が異なる言葉の意味

以前も書きましたが、続きとして、同音で漢字が異なる言葉の意味の違いを少しご紹介させていただきます。

「変わる」、「代わる」、「替わる」、「換わる」の違いは、「変わる」は異なる状態になる時、「代わる」は何かの代理をする時、「替わる」は入れ替わりで交換する時、「換わる」は古いものを新しいものに換える時に使います。

「努める」、「務める」、「勤める」の違いは、「努める」は努力する時、「務める」は役目を担う時、「勤める」は仕事に携わる時に使います。

「現れる」、「表れる」の違いは、「現れる」は隠れていたものが現れた時、「表れる」ははっきりと表れた時に使います。

「体」、「身体」の違いですが、「体」は単に肉体のことを指し、「身体」は人間の心と肉体のことを指します。
つまり、「身体」と「心身」は同じ意味になりますが、分かりにくいので、人間の体を指す場合は「身体」を使い、心と体を指す場合は「心身」を使うと良いと思います。

「保証」、「保障」、「補償」の違いは、「保証」は人や物を確かなものと保証する時、「保障」は何かの基準を守る時、「補償」は損害などを補う時に使います。

「速い」と「早い」の違いは、「速い」は速度が速い時、「早い」は時間が早いという時に使うのは、ご存知の方も多いと思いますが、使い分けが難しい時があります。
例えば、「食べるのが速い」と書くと、がつがつと短時間に食べるという意味になりますが、「食べるのが早い」と書くと、決まった時間よりも食事時間が早いという意味になります。

つまり、「早い」は時間が短い時ではなく、規定時刻よりも早い時に使います。
英語で言えば、「速い」は「fast」で、「早い」は「early」になりますが、こちらの方が分かりやすいかもしれません。

「暑い」と「熱い」の違いは、「暑い」は気温が高い時、「熱い」は何かの温度が高い時に使います。気持ちが高ぶった時も「熱い」の方を使います。

「初め」と「始め」の違いは、「初め」は一番最初にやる時、「始め」は開始する時に使いますが、これも使い分けが微妙な時があります。
初めてのことを始める時など、どちらの漢字を使うか迷うことがありますが、「初め」は「初めて」のように副詞として使い、「始め」は「始める」のように動詞として使うことが多いので、きちんと区別するようにしましょう。

「効く」と「利く」の違いは、「効く」は薬など効果があるという意味で、「利く」は十分に働くという意味になります。
「薬が効く」、「鼻が利く」、「気が利く」のように使い分けます。

他にもあれば、また別の機会にご紹介させていただこうと思います。

 



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