言葉を知る8
前回に続き、間違いやすい日本語などを少しご紹介したいと思います。
■鳴かず飛ばず
「鳴かず飛ばず」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
こちらの意味を勘違いしている方も多いようですが、正確にはどのような意味かご存知でしょうか?
「鳴かず飛ばず」は、鳥が鳴きもしないし、飛びもしないということで、活躍しないとか目立った人気がでないなどの意味で認識していらっしゃる方が多いようです。
しかし、これは少し違うようで、正しくは今後の飛躍のために準備をしておくという意味です。
ただ、最近の辞書には、長い間活躍しないという意味で掲載しているものもありますので、現在では間違いとは言えませんが、元々の意味としては、今後の活躍のために準備しているということです。
誤用であっても、世の中に浸透してしまうと、正しいものとして認められることがあると以前も書きましたが、本来の意味を知っておくことも大切なことかと思いますので、覚えておきましょう。
■性懲りもなく
「性懲りもなく」という言葉があります。
「あいつ、性懲りもなくまた来たな」などのように使います。
文字通り、懲りもせずという意味ですが、たまに「証拠にもなく」と間違って表現する人がいらっしゃいます。
「証拠にもなく」と言ってしまうと、こちらも文字通り、証拠がないという意味になってしまいますので、明らかに間違いでしょう。
漢字で書けば分かりやすいですが、ひらがなで書くと
「しょうこりもなく」
「しょうこにもなく」
と一字違いですので、間違って使ってしまう人が多いのかと思われます。
もし間違って使っていた方がいらっしゃったら、注意しましょう。
■雰囲気
雰囲気は「ふんいき」と読みますが、「ふいんき」と言ってしまう方が大変多いです。
漢字を見れば分かる通り、「雰」は「ふん」と読みますし、「囲」は「い」としか読みませんので、「ふんいき」が正しいのは間違いないのですが、「ふんいき」が言いにくいからか、「ふいんき」と言う人が昔から多いのです。
そのため、こちらも「ふいんき」と読んでも良いと、今後、辞書に掲載されるようです。
誤用が辞書に掲載され、正式に認められることが多くなってきていますが、正しい日本語というものが崩れていくようで、心配にもなってしまいます。
現代用語が辞書に追加されるのは何の問題もないのですが、誤用が辞書に載ってしまうのということは、本来の正しい日本語を考えずに使ってしまう人が増えるということであり、日本語の乱れが懸念されます。
まぁ、私は辞書を作っている人でも、正しい日本語を普及させる人でもありませんので、関係のない話ではありますが、なるべく正しい日本語を理解し、美しく話せる人が増えてほしいとは思います。
■話のさわり
「話のさわり」というと、物語のどの部分を指すか、ご存知でしょうか?
話の最初の部分と勘違いしていらっしゃる方が多いようですが、正しくは話の最も重要な部分を指します。
「この話のさわりは、・・・です」と、概要を説明することがありましたが、こういった説明から「話のさわり」は物語の最初の部分と勘違いされたようです。
「この話のさわりだけ教えて」と言われたら、話の最初の部分ではなく、最も重要な部分をかいつまんで話さなければなりません。
「さわり」というのは、心にさわるというところから、話の最も重要な部分という使われ方をしてきました。
「話のさわり」といったら、話の最初の部分ではなく、話が最も盛り上がる部分のことですので、間違わないように覚えておきましょう。
■必至と必須
「必至」と「必須」を間違えて使っている方がたまにいらっしゃいます。
「この計画を行えば、うまくいくことは必須だな」は間違いで、「必至」が正しいです。
「必至」は必ず至るということで、絶対そうなるという意味です。
「必須」は必ず要るという意味で、「必要」とほぼ同じ意味ですが、「必須」の方がより必要性が強いということです。
ただ、「必至」と「必須」は意味が違いますので、注意する必要があります。
文字としても
「ひっし」
「ひっす」
と一字違いですので、間違いやすいのかもしれませんが、間違えることないように正確に両方覚えておきましょう。