言葉を知る7
前回に続き、間違いやすい言葉や勘違いしやすい言葉などを少しご紹介させていただこうと思います。
■全然大丈夫という使い方は正しい?
近年、「全然大丈夫」とか、「全然OK」などの使い方をよく耳にします。
この使い方は、正しいのでしょうか?
全然という言葉は、本来、「全然~ない」と、否定文で用いられるのが通常でした。
私もそれが正しいと思っていて、「全然大丈夫」という言葉は、「全然問題ない。大丈夫」の略だと思っていました。
最近はそれが横行して、「全然良いよ」「全然OK」などの言葉をよく耳にするようになりました。
調べてみましたところ、肯定文で「全然」を使うのは、間違いではないそうです。
「全然」という言葉の意味として、「全くもってして」という意味なので、肯定文で使っても問題ないようです。
もちろん、従来通り否定文で使っても問題ありません。
「全然大丈夫」という言葉に少し違和感を感じる方もいらっしゃると思いますが、間違いではありませんので覚えておきましょう。
■違和感を感じるは二重表現?
上で書いた「違和感を感じる」という言葉ですが、「頭痛が痛い」のように二重表現ではないかという指摘する方もいらっしゃいます。
こちらも、私も分からなかったので、調べたところ、結論としては間違いではないようです。
「違和を感じる」か「違和感を覚える」「違和感を抱く」とするのが正しいのではないかというご意見だとは思いますが、違和感というのが感覚なので、そのような感覚を感じたという表現は間違いではなく、「歌を歌う」や「踊りを踊る」などと同じ使い方のようです。
自分で書いていて気になったので、調べてみましたが、もし同じ疑問をお持ちの方がいらっしゃったら、覚えておきましょう。
■断トツトップは間違い?
「断トツ」という言葉があります。
昔テレビのアナウンサーが「断然トップ」を「断トツ」と言ったことから広まった言葉のようです。
つまり、2位以下を大きく引き離しての1位だったという意味です。
その人の意図としては、「断然トップ」という意味だったので、「断トツトップ」や「断トツの一位」「断トツ最下位」という表現は本来間違いということになるかと思います。
この使い方は、「断トツ」を「断然トップ」ではなく、「断然突出」という意味で使っているかと思われます。
「断然突出して最下位」という意味なら、間違いではないと思われます。
ただ、「断トツ」という言葉自体、正式な日本語ではなく、俗語、つまり流行り言葉のようなものなので、「断然突出」という意味で使ったと言うなら間違いとは言い切れないということになるかもしれません。
しかし、一部の辞書にも、「断トツ」という言葉は、俗語として2位以下を大きく引き離しての1位という意味で載っているものもありますので、「断然トップ」を略したものとして覚えておいた方が良いかと思われます。
■元旦、イブの意味
間違って使っている人が非常に多いものに、「元旦」と「クリスマス・イブ」の「イブ」があります。
「元日」と「元旦」の違いをご存知でしょうか?
「元日」と「元旦」は明確に違いがあります。
「元日」は1月1日を示す言葉です。
対して「元旦」は、「元日の朝」という意味で、「元日」と同じ意味ではありません。
「元旦」の「旦」という文字は、地平線を示す「一」から、太陽を示す「日」が上に出ているから「朝」を表すと覚えておくと良いでしょう。
また、「イブ」という言葉を前日という意味で勘違いしていらっしゃる方が多いと思いますが、正しくは「前夜祭」という意味です。
元々は夕方の意味である「イブニング」から来ていて、夕方に前祝いをしたところから「前夜祭」の意味に転じているという説があります。
つまり、本来は「クリスマス・イブ」と言うと、前日の夜に行うイベントという意味ですので、12月24日全体を指すわけではありません。
間違って覚えている人が多いので、通じてしまう場合が多いですが、なるべく正しい表現を使うようにしましょう。
■リベンジ
最近、「リベンジする」という言葉をよく聞きます。
同じことをもう一度行う場合に使われることが多いですが、あまり良い言葉ではありません。
「リベンジ」は「復讐」という意味であり、やられたことに対して仕返しをするということになります。
「あのお店、この前行った時は休みだったから、今日リベンジしよう」
という使い方は基本的には間違いですし、良い表現ではありません。
この場合、「リトライ」という言葉が適切でしょう。
「リベンジ」という言葉が流行ってきているので、直すのが難しいかもしれませんが、英語を知っている人が聞いたら、何事かと思ってしまいますので、なるべく正しい表現を使うようにしましょう。