言葉を知る4

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OIT017
前回に続き、間違いやすい言葉などについて、少しご紹介させていただこうと思います。

 

■二の舞を演じると二の足を踏む

よく、同じ過ちを繰り返すという意味で言う時に、「二の舞を踏む」という言葉を使うのを耳にしますが、こちらは間違いです。
正しくは「二の舞を演じる」です。

この誤用は、「二の足を踏む」と混同してしまったためと思われます。
じっくり考えてみていただければ分かるかと思いますが、「二の舞を踏む」という言葉はおかしいですね。
舞は演じるものであり、踏むものではありません。

対して、「二の足を踏む」という言葉は、思い切って行動しようと一歩目は踏み出したものの、やはりためらって二歩目の足が出ずに迷うところから、ためらうとか尻込みするという意味になります。

「二の舞を演じる」という使い方よりも、「前回の二の舞になる」という言い方の方が多いと思うので、二の舞は演じるものなのか、踏むものなのかを知らない人が多くなっているのかと思われます。

いざ自分が話した時に、誤用の方を使うことがないよう、両方の言葉の意味と使い方を覚えておきましょう。

 

■戦いの火蓋と幕

スポーツの試合開始などで使われる、「戦いの火蓋」ですが、こちらは「切って落とす」でしょうか?
それとも、単に「切る」でしょうか?

こちらも誤用が大変多くなっていますが、「戦いの火蓋」は「切る」が正解です。
「戦いの火蓋を切って落とす」は間違いであり、「切って落とす」と表現するのは「幕」で、何かが始まる時に「幕が切って落とされた」と使います。
こちらと混同してしまって、「戦いの火蓋を切って落とす」という誤用が生まれたのかと思われます。

この「火蓋」というのは、昔の火縄銃の部品で、火皿を覆う蓋のことです。
射撃の前に、この火蓋を切って発砲をすることから、戦いが始まるという意味として使われるようになりました。

従って、「火蓋」は「切って落とす」ものでありません。
正しくは「戦いの火蓋が切られた」となります。

一方、「幕を切って落とす」は、歌舞伎の開演の時、舞台の幕を華々しく一気に落として始まるところからきています。
こちらも、誤用が大変多くなっているようですので、間違えないように、セットで覚えておきましょう。

 

■漢字とひらがなの違い

「頂く」と「いただく」は、明確に言うと違いがあります。
「頂く」というのは、受け取るや食べるなどの謙譲語の時に使われます。

つまり、「ファイルを頂いてもよろしいでしょうか」は正しいですが、「お越し頂いてもよろしいでしょうか」は、誤りになります。
後者の方の「いただく」は動詞に付属する言葉であり、受け取るの謙譲語ではありません。
この場合、「お越しいただいてもよろしいでしょうか」とひらがなで書きましょう。

同様に、「致す」と「いたす」も違います。
「致す」は「する」の謙譲語です。

「それは私の方で致します」は正しいですが、「よろしくお願い致します」は、厳密に言うと誤りです。
こちらも、後者の「いたす」は動詞に付属する言葉ですので、「よろしくお願いいたします」が正しい表記になります。

ちなみに、「よろしく」を「宜しく」と書くのも誤りのようです。
「宜しく」は当て字だそうで、本来の読み方ではないそうです。

この他にも様々ありますが、考えるのが面倒な場合は、どの場合でもひらがなで書いておけば間違いはありませんので、迷ったらひらがなで書いておけば良いでしょう。
ただ、日本語を正しく使うのは、日本人にとっても美徳と言えますので、なるべく意味を考え、適切な漢字とひらがなを使いこなしていただければと思います。

 

■漢字の使い分け

「産む」と「生む」は同じ読み方でも意味が異なります。
ご存知の方も多いと思いますが、一応解説しておくと、「産む」は母が子どもを産む時や、動物が卵を産むという時に使います。

「生む」の方は、それ以外のものを生み出す時に使います。
例えば、「アイディアを生む」「新製品を生み出す」といった使い方です。

「卵」と「玉子」にも違いがあります。
「卵」は殻がある状態のもので、「玉子」は調理された後の状態のものです。

「歳」と「年」も、「歳」の方は人間などの年齢を示し、「年」は年月の方を示すという違いがあります。

「脚」と「足」も違います。
「脚」はleg、つまりくるぶしから上の部位を指し、「足」はfoot、つまりくるぶしから下の部位を指します。

間違いが多いものに「確率」と「確立」があります。
「確率」は、事象が起きる可能性のことで、「確立」の方は何かを打ち建てた時に使うものです。

まぁ、こちらは単に変換ミスかと思いますが、少し前は結構この間違いが多くあり、理解するのに一瞬困る場合がありました。

メールやSNSなどで、漢字を変換する機会は多いと思いますが、こういった変換ミスがないよう、意味を考えた上、送信する時に間違いがないかを確認するクセをつけておくと良いでしょう。

 



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