医療の知識11
前回に続き、役に立つかもしれない医療の知識について、少しご紹介させていただこうと思います。
■胃腸の免疫力
胃や腸は、身体の中で最も免疫力の強い器官と呼ばれています。
実際、多少腐った物を食べたとしても、平気な人は多いかと思います。
これは、胃酸によってほとんどの菌やウィルスが殺され、腸でその菌やウィルスに対する免疫力が作られるからだそうです。
腸で作られた免疫力が、身体を強くするとも言われています。
また、虫歯菌を飲み込んでも大丈夫なのは、胃酸で殺されるためです。
口の中には多くの菌が存在していて、寝ている間にも菌が増殖し続けますが、唾液によって殺菌されたり、菌を飲み込んだとしても、胃酸で殺されるために、即座に身体に悪影響が出ることがないのです。
腸がたくさんの免疫を作るので、多少の腐りかけた食べ物を食べた方が、免疫力がつくのではないかという説もあるほどです。
もちろん、あまりこういったことをすれば、お腹を壊して下痢になったりするので、注意が必要ですが、消費期限の少し切れたくらいの食品を食べるのは、問題ないと思います。
ただし、牛乳や魚など、腐りやすい食品については、お腹を壊しやすいので、十分に注意してください。
■鼻呼吸をする
普段から鼻呼吸ができている人は、あまり気にしたことがないかもしれませんが、口呼吸の人は、免疫力が低下しやすいので、注意が必要です。
口呼吸をすると、口の中が乾燥し、唾液による殺菌効果が弱くなり、菌が繁殖して、病気になりやすくなります。
また、鼻呼吸をすると、鼻毛によって、空気中のホコリや菌などのフィルターをかけることができますが、口呼吸の場合は、ダイレクトに気管支や肺にそういったものが入ってくることになり、免疫力も低下します。
さらに、鼻呼吸の場合は、鼻毛や鼻水の粘膜によって、適度な温度と湿度に調整されますが、口呼吸ではその効果があまりありませんので、冷たい空気や乾燥した空気が直接肺に入ってくれば、病気になりやすくなるということです。
口呼吸のメリットは、一度に大量の酸素を取り込めるということぐらいです。
激しい運動をすると、口で呼吸するようになるのは、身体が疲れて大量の酸素が必要になり、口呼吸によって大量の酸素を取り込むためです。
この場合は仕方ありませんが、大量の酸素を必要としない普段の生活では、鼻呼吸の方が良いということになります。
もし、自分が無意識に口呼吸になってしまうという方がいらっしゃったら、鼻呼吸になるように気をつける必要があります。
治し方としては、ガムを噛むなどして、常に口の中に何かある状態にしておけば、自然と鼻呼吸になります。
睡眠時は、口の中に物を入れておくわけにはいきませんので、テープを唇に軽く貼っておくなどして、口が開かないようにすると良いそうです。
■正しい深呼吸
深呼吸は、酸素をたくさん取り入れて、心を落ち着けたり、リラックス効果を生み出すという意味もあります。
落ち着きたい時や、リラックスしたい時は、深呼吸をするようにすると良いでしょう。
ただ、深呼吸が正しくできていない方もいらっしゃるようです。
深呼吸は、たくさん酸素を取り込むということで、吸う方が重要だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は吐く方が重要です。
と言うのも、肺に空気がある状態で吸っても、効果が落ちるのです。
肺に残っている空気は、二酸化炭素濃度が高いので、これをまず吐き出した方が良いのです。
肺を空に近い状態にまで空気を吐き出してから、空気を吸うようにすれば、深呼吸の効果が高まります。
肺の空気を全て出しきった方が、たくさん酸素を取り込めるということです。
また、吸う時は鼻から吸って、吐く時は口から吐くというのが良いようです。
深呼吸をする際は、この辺りを意識していただければと思います。
■過呼吸になった場合
過呼吸になってしまった場合は、まず落ち着く必要があります。
過呼吸になってしまっても、落ち着いた対処をすることによって、すぐに改善する可能性があるからです。
過呼吸というのは、精神的ストレスによる自律神経の異常であって、身体に大きな異常が発生しているわけではありません。
誰しも、不安やストレスなどから、軽い過呼吸になってしまうこともあり得ますので、過呼吸になってしまった場合の対処法を覚えておくと良いかもしれません。
過呼吸なってしまったら、浅い呼吸をゆっくりするのが良いそうです。
発作は30分程度で治まるそうなので、慌てる必要はありません。
また、息を吸ってから数秒息を止めてみるのも有効だそうです。
これによって、血液中の二酸化炭素濃度が上がり、過呼吸が改善する可能性があります。
ビニール袋を口に当てて呼吸すれば改善するというペーパーバッグ法というのがあったのですが、現在は推奨されていないそうです。
二酸化炭素濃度を高める効果はありますが、濃度が高まりすぎて意識を失う可能性があるからだそうです。
もし、頻繁に過呼吸が起こるという方がいらっしゃったら、呼吸器科か、精神科を受診するようにしましょう。