言葉を知る21

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前回に続き、間違いやすい日本語などを少しご紹介させていただこうと思います。

 

■敬称をつけるべきか

有名人やキャラクターの名前を呼ぶ時に、敬称を付けるかどうか迷うことがあります。
敬称を付けると、逆におかしくなることもありますので、名前で敬称を付けるかどうかを判断するしかないでしょう。

例えば、タレントの「さかなクン」に対して、敬称を付けて「さかなクンさん」と呼ぶ方がいらっしゃいますが、やはりこれはおかしいです。
「クン」がすでに敬称のようになっているので、その後の「さん」は不要でしょう。

また、アニメキャラクターの「ドラえもん」を「ドラえもんさん」と呼んでいる芸能人もいらっしゃいましたが、これも敬称はない方が良い気がします。
この名前のように、愛称のような名前には、敬称は付けない方が良いように思います。

歌手の「浜崎あゆみ」さんに対して、「あゆ」または「あゆちゃん」と呼ぶのは良いですが、「あゆさん」は少し違和感があります。
相手を敬う気持ちで「さん」付けしているのかと思いますが、逆に距離を感じてしまう呼び方とも言えます。

つまり、敬称を付けるかどうかは、都度名前で判断した方が良いわけで、誰に対しても「さん」を付ければ良いというわけではないかと思います。
もちろん、呼ばれる本人がそれで良いと言っているのであれば、無理に変える必要はありませんが、親しみを込めて呼ぶなら、あえて「さん」を付けない方が良いこともあるかと思います。

 

■人一倍というのは二倍のこと?

「人一倍」という言葉がありますが、これは他人より二倍という意味でしょうか?
「一倍」とありますが、そもそも、「倍」、「一倍」、「二倍」は、どう違うのでしょうか?

この言葉は少しややこしいのですが、現在の意味としては、「倍」はかけ算の「かける」を意味していると考えて良いかと思います。
つまり、「二倍」は×2のことで、「倍」と書いても、「二倍」の省略なので×2になります。

「一倍」は×1なので、何も変わらないことになります。
そのため、「一倍」という言葉は、単体ではあまり使われません。

「人一倍」というのは、その「一倍」とは関係なく、「他の人と比べて更に」という意味になります。
他人より二倍ということでもありませんし、他の人と同じレベルという意味でもありません。

この辺りが曖昧だったという方も多いと思いますので、覚えておくと良いでしょう。

 

■同音で意味の異なる漢字

以前も書きましたが、続きとして同音で意味の異なる漢字を少しご紹介させていただこうと思います。

「当てる」、「充てる」、「宛てる」は、基本的にはどれも同じ意味のようですが、「当てる」は物に触れさせたり、命中させたりする時に使い、「充てる」は費用や時間などを振り分ける時に使い、「宛てる」は届け先の名前などに使うと良いかと思います。

「現れる」、「表れる」の違いは、「現れる」が隠れていた物が姿を現す時に使い、「表れる」は表に見えるようにはっきりと表れる時に使います。

「使う」、「遣う」は、基本的に同じ使い方で良いようですが、「使う」は物を役立てる時などに使い、「遣う」は気を遣ったり、人を派遣するときなどに使い分けわれることが多いです。

「見る」、「観る」、「診る」、「視る」、「看る」の違いは、「見る」は目でものを見る時に使い、「観る」は動画などをじっくり観る時に使い、「診る」は人の健康状態を診察する時に使います。「視る」は調査や視察などをする時に使い、「看る」は病人を世話する時になどに使います。

「聞く」、「聴く」、「訊く」の違いは、「聞く」は耳で音を聞く時に使い、「聴く」は音楽などをじっくり聴く時に使い、「訊く」は人にものを尋ねる時に使います。

「匂い」、「臭い」の違いは、「匂い」は良い香りが鼻で匂う時に使い、「臭い」は悪い臭いを嗅いだ時に使います。

「お得」、「お徳」はどちらも利益があるという意味ですが、「お得」だと会社が得をすると思われてしまうので、お客様に利益があるという意味で「お徳」という言葉を使い始めたようです。

「特徴」、「特長」の違いは、「特徴」は物の目立った機能などを意味しており、「特長」は物の長所を意味します。

「寂しい」、「淋しい」の違いは、「寂しい」は人がいなくて寂しい時に使い、「淋しい」は気持ちが淋しい時に使います。

「遅れる」、「後れる」の違いは、「遅れる」は時間が間に合わない時に使い、「後れる」は順位が後れたり、時代に取り残された時などに使います。

「名字」、「苗字」は、どちらも「姓」を意味しますが、「名字」の方は地名などに由来した家族名で、「苗字」の方は血統や血族に由来した家族名だったようです。現在では特に区別されていませんが、迷ったら一般的な「名字」の方を使えば良いかと思います。

「辞典」、「事典」、「字典」の違いは、「辞典」は言葉の意味を説明する本で、「事典」はさまざまな事柄を説明する本で、「字典」は漢字を説明する本です。

「起つ」、「発つ」、「立つ」の違いは、「起つ」は会社などを起ち上げる時に使い、「発つ」は出発する時に使い、「立つ」は身を起こしたり、決起する時などに使います。

「龍」、「竜」は、どちらも空想の生き物のドラゴンを意味しますが、「龍」は中国の蛇に近い姿の龍の方に使い、「竜」は西洋の翼の生えた竜の方に使われることが多いかと思います。

「褒める」、「誉める」、「賞める」、「讃める」は、基本的に同じ意味のようですが、「褒める」は容姿や優れた部分を褒める時、「誉める」は名声などを誉める時、「賞める」は功績に対して賞める時、「讃める」はその人の行為を讃える時、というように使い分けると良いかもしれません。

まだまだ同音で意味の異なる漢字がありますが、続きはまた別の機会にご紹介させていただこうと思います。

 



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