話術を学ぶ7
前回に続き、役に立つかもしれない話術について、少しご紹介させていただこうと思います。
■関東人の関西弁が嫌われるのはなぜか
よく関東の人が、関西弁のマネをして話すという話を聞きますが、これは関西人には大変嫌がられます。
もちろん、イントネーションなども完璧に話せていれば、気づかれない場合もありますが、関東人と分かって関西弁を話されると嫌がる人が多いようです。
これには、理由があります。
このサイトでも一度述べていますが、そもそも方言というのは、戦国時代やその前の時代に、敵国のスパイをあぶり出すために作られたものだからです。
敵国の忍や間者が、情報収集のために自国に来るということはよくあったことですが、自国特有の言葉で話すようにすれば、すぐに部外者だと分かるというものです。
このため、自分の地域の言葉と違う話し方をする人は、敵だという認識が今でも無意識に芽生えているのかもしれません。
逆に、関西人が関東弁を話しても、全く腹が立たないのは、関東弁が標準語となっているからです。
江戸時代には江戸が中心となり、現在でも東京が首都となっているため、関東弁が標準語としてテレビなどでも話されています。
そのため、地方の人が関東弁を話すのは何も問題ないのです。
関東人が面白がって、関西弁をマネするという人も少なくないようですが、こういった事情を理解した上で、トラブルのないように行っていただければと思います。
■指摘する時に逆のことを言う
何か相手のことを指摘したい場合に、はっきりと言ってしまうと、相手を傷つけてしまう場合があると思います。
その場合に、真逆のことを言うという手法があります。
例えば、相手が少し太ったと思った時、
「少し痩せたんじゃない?」
と言ってみましょう。
相手は「いや、ちょっと太ったんだよ」と言ってくると思いますが、相手は嫌な気分はしませんし、体型が変化していることは認識させることはできると思います。
また、痩せたと言ってもらうと、相手としては痩せた時の喜びを覚えるため、痩せたいという意識が芽生える可能性があります。
逆に、「太った?」と聞かれると、相手は不快に思いますし、もうみんなに太ったという認識があるのであれば、諦めてもっと太っても良いかという考えが無意識ながらにできてしまい、さらに太りやすくなる可能性があります。
他の例としては、あまり気が利かない人に、たまに何かしてもらった時に、
「○○さんは、気が利くなぁ」
と褒めると、それを喜んで、もっと気が利くことをしようと思うかもしれません。
ただ、この手法は、使いどころが限られます。
使い方を誤ると、逆効果になる場合もありますので、十分に注意していただければと思います。
■指摘する時に質問をする
相手に何か指摘したい時に、別の手法があります。
質問をするという方法です。
これは、相手の雰囲気が何か変わったが、何が変わったか分からない場合などに有効です。
特に女性は、好きな男性に自分の変化に気づいてほしいものですが、男性側は分からないということが結構あるものなので、その場合は質問をしてみましょう。
「髪型変えた?」
「いや、変えてないよ」
「雰囲気変わったよね?」
「目のメイクを変えたのよ」
相手も、何が変わったかは分からなくても、変化に気づいてくれたという部分では、相手としても嫌な気分にはならないはずです。
また、そうと分かっていても、相手を傷つけないために、質問をするという場合も使えます。
例えば、相手の服にシミがあるのが分かった場合、
「それはそういうデザインなの?」
のように質問をしてみるのです。
質問をして、相手側から話させることによって、相手を傷つけずに指摘することができますので、うまく使ってみましょう。
■相手を諭したい時は先に褒める
相手を叱りたい場合や、相手に真剣に取り組んでもらいたいことがある場合などに有効なのが、褒めてから諭すという方法があります。
先に褒めておくことで、相手の不快な感情を消し、また指摘したい部分を強めることができます。
例えば、何か反論したい時や、相手を諭したい時に、
「あなたは歴史に詳しいから、○○のような例も知っているでしょう?」
とか
「君のような頭の良い人なら、どちらの方がメリットが大きいか分かるだろう」
のような感じです。
子どもの教育にも有効かと思います。
「○○君は運動神経が良いから、跳び箱くらい簡単だよね」
と言っておくと、子どもが自ら努力するようになるかもしれません。
こういった手法を上手に使いこなして、人間関係も良好になるように心がけていただければと思います。