話術を学ぶ5
■反対意見を聴く
何かをしようとする時や、意見を述べた時、それに対して反対意見を述べる人がいます。
自分の意志や意見を否定されるのは、誰しもイヤなものですが、いたずらに反対意見を無視したり、よく考えもせずに、反対意見を述べた人に真っ向から反論するのは避けましょう。
常に自分が正しいと思いがちですが、客観的に見れば反対意見の方が正しい場合もあります。
反対意見をよく聴いた上で、どちらが正しいかを判断するようにしましょう。
また、反対意見を述べた人には、理由と改善策も聞くようにしましょう。
例えば、
「商品の販売促進は、雑誌広告をメインにしようと思います」
「他の広告をメインにした方が良いのではないでしょうか?」
「なぜでしょうか?」
「雑誌自体の売れ行きが落ちているため、宣伝効果が低いと考えられます」
「では、何をメインにすれぱ良いでしょうか?」
「インターネット広告をメインとした方が良いかと思います」
のような感じです。
傍目八目といって、将棋を指している当事者よりも、傍で見ている人の方がよほど客観的に物事をとらえていて、正しい判断ができる場合があるという言葉です。
何かに集中して物事に取り組んでいると、どうしても周りが見えなくなってしまったり、客観的自分を見れなくなってしまいます。
そういったこともありますので、他人の意見をなるべく聴くようにしましょう。
もちろん、意見を述べる人の中にはよく考えもせず、反論だけをして改善策がない人もいます。
今の政治家たちが良い例でしょう。
改善策がないのに批判だけするのはあまり賢いこととは思えません。
改善策を聞いてみて、それがないような場合は、反対意見もスルーして良いかと思います。
もちろん、改善策を述べられたとしても、明らかにそれが間違っていると判断できる場合は却下して構いませんが、本当に自分が間違っていないかどうかを再考する必要はあるかと思います。
逆に自分が反対意見を述べる場合は、その理由や改善策をしっかりと考えた上で反論した方が良いです。
何も考えずに反論してしまうと、相手に不快な思いをさせるだけでなく、自分が論破されることになってしまいますので、注意してください。
■相手の事情をよく知ること
自分が批判をする側の場合は、状況をよく見てから意見を述べるようにしましょう。
面と向かっては、あまり相手の批判を堂々を言わないとは思いますが、ネット上では気軽に匿名で批判する人が多く、見ず知らずの人を批判することも多くなっています。
その中の多くの人は、その人の事情をよく知らないのに意見を述べていることが多いのです。
例えば、ツイッターのつぶやきで
「弟と喧嘩して泣かせてしまった」
というツイートに対して、
「ひどい」
「お前が死ね」
と書き込んだ人がいたとしましょう。
しかし、その後のツイートでよくよく経緯を聞いてみれば、弟が同級生へのいじめを止めないから、それを止めようとして喧嘩になったという美談かもしれません。
犯罪なども同様に、万引きをしてしまったという人がいたら、それは確かに悪いことではあるのですが、実は家もお金もなく、腹が減って死にそうだったという事情があるのかもしれません。
それでも確かに犯罪は良くないのですが、事情を知ればそれほど責められることではないことも多々あるものです。
相手の事情をよく知らないのに、すぐに批判するようなことはせず、状況を見極めた上で意見を述べるようにしましょう。
また、批判するにしても、自分の言葉にはきちんと責任を持ちましょう。
ブログへのコメントやツィートなどで批判だけを書く人も多いですが、その人を傷つけることにもなりますので、よく言葉を選ぶようにしましょう。
■他人の悩みを打ち明けられた時
知人に悩みを打ち明けられた場合は、返答に困ってしまうことがあるかと思います。
もちろん、この場合も細かいことなどをよく聞いてみる必要があります。
それでも良い解決策が浮かばない場合は、質問を重ねてみましょう。
例えば、
「漫画家を目指しているのに、全然作品が採用されないんです」
「そもそも何で漫画家を目指そうと思ったの?」
「世の中の人を楽しませようと思いまして」
「そのためにはどうすれば良いと思う?」
「面白いストーリーを考えなくてはいけないと思います」
「君が考える面白いストーリーと言うのは、人を楽しませることができるの?」
「そうだと思うのですが・・」
「君の友人は君のマンガが面白いと言っているの?」
「そういえば見せたことはないです」
こういった質問を重ねていくことで見えてくるものがあるかと思います。
この例の場合、自分が面白いと思っているだけで、他の人が面白いと言うとは限らないということです。
改善策は、まず自分の周囲の人に作品を見てもらって、楽しいかどうかを聞いて試行錯誤するということになるでしょうか。
状況を知るということも兼ねて、質問を重ねることで、悩んでいる本人が忘れている部分や、気づいていない部分に気づく場合があるのです。
うまく質問をしていくことで、解決の糸口を探すようにしましょう。
■断る時は神妙にならないこと
相手の要求を断る時は、あまり神妙にならない方が良いです。
要求の内容によりますが、それほど重くない要求の場合は、神妙に断られると、相手も申し訳なく思ってしまいます。
対面で断る場合は、笑顔で軽い感じで断った方が良い場合があるのです。
もちろん、要求が重い場合などは、神妙になった方が良い時もありますし、メールなどではあまり軽い感じで書いてしまうと、逆に失礼な場合があります。
状況に応じて使い分けるようにしましょう。
また、断る場合は理由を述べましょう。
飲み会などの誘いで、単に行きたくない場合でも、何か理由をつけた方が良いです。
「今日はこれから友人と会う約束をしてまして・・」
などです。
さらに、そういった時は、本当は断りたくなかったという意志を示しておくと、相手も不快に思うことがなくなります。
「本当はすごく行きたかったんですが、残念です」
といった感じでしょうか。
ただ、飲み会のお誘いなどは、毎回断るのも申し訳ないですし、周囲の人から疎遠状態になってしまうかもしれませんので、なるべくなら参加するようにしましょう。
■言いづらいことを指摘する時
言いづらいことを指摘しなくてはならないことがあるかと思います。
例えば、知人の鼻毛が出ている場合などです。
ただ、普通に指摘してしまうと、その人は恥ずかしいと思ってしまいますし、逆に「何でそういうことを言うんだ」と恨まれてしまう場合もあります。
かと言って、放っておくと、後で「何で教えてくれなかったんだ。恥をかいたじゃないか」と怒られてしまうかもしれません。
理不尽な言い分ではありますが、こういった状況で指摘せずに本人に気づかせるのも難しいものです。
このような場合は、
「トイレに行って身だしなみを整えてこい」
のように言うのが良いかと思います。
相手が異性の場合は、そういったことでも言わない方が良い場合があります。
例えば、女性のスカートのファスナーが開いているのを男性が指摘したい場合です。
こういった場合、もし遠回しであったとしても男性が指摘してしまうと、女性はその男性が夫や恋人でない限り、恥ずかしい部分を見ていたのかとイヤになってしまうようです。
この場合は、誰か別の女性に頼み、その人に指摘してもらうようした方が無難です。
なかなか難しいことではありますが、状況に応じて判断していただければと思います。