歩行者は左右どちらを歩くべきか2
前回の続きとして、様々な事例を検証し、歩行者が左右どちらを通るべきかを考えてみたいと思います。
■現在の原則
基本的に歩行者はどこを歩いても良いのですが、日本は原則として、歩行者は右側通行となっています。
日本は、車や二輪車は左側通行なのに、なぜ歩行者は原則右側通行なのでしょうか?
これは、戦後のGHQが定めたものとされています。
日本に戦争で勝ったアメリカは、日本の交通ルールを変えようとしました。
当時も日本では、車は左側通行でしたが、アメリカと同じ右側通行に変更しようとしたのです。
しかし、日本の運転手は左側通行に慣れてしまっているので、右側通行にすると事故が多発するとして、国民や政府から猛反発されました。
そこで、車の左側通行はそのまま残し、歩行者のみ右側通行にするという妥協策を強行しました。
そのせいで、現在は車は左、人は右とされています。
ただ、これは自然の交通ルールとは捻じ曲げられたルールです。
車や二輪車は左側通行である以上、歩行者も左側通行でないと危険と私は考えます。
以下、事例を考察したいと思います。
■不意に歩行者と車が向かい合った場合
車が1台通れるくらいの道で、歩行者の飛び出しや不注意などで、不意に歩行者と車が正面から向かい合ってしまった場合を考えてみましょう。
車は左側通行なので、ブレーキが間に合わない場合はとっさに左に避けようとしますが、歩行者の原則が右側通行だとすると、右に避けようとするので、これでは正面衝突してしまいます。
もし歩行者も左側通行であれば、お互い左に避けようとしますので、ぶつかる可能性は低くなります。
これは、車をバイクや自転車に置き換えても同様です。
車もそうですが、バイクや自転車は、相手が歩行者であれば、歩行者が原則の右側に避けると想定し、自分も右に避けなくてはならなくなります。
ところが、不意に向かい合った相手が自転車かバイクであれば、左側に避けなくてはならないので、相手によって避ける方向が変わってくることなり、とっさの判断に迷ってしまうことになります。
判断力がある人であれば問題ないかもしれませんが、鈍い人だと事故になる可能性は高くなるでしょう。
このような交通ルールでは、事故が増えるのは当然と考えられます。
歩行者も原則が左側通行であれば、とっさの時もお互いが左に避ければ大丈夫ということになりますので、事故になる確率は激減します。
■すれ違う時に車が来た場合
車が1台通れるくらいの道では、歩行者が原則右側通行だと、左側通行をしているバイクや自転車が逆方向から来る時に、正面から対峙することになります。
バイクや自転車が真ん中に寄れば良いのですが、ちょうどすれ違う時に車が通ると、お互いが向き合っているので、止まって車が通り過ぎるまで待つしかなくなります。
すれ違うための多少のスペースがあっても、正面から向き合っているので、かなり気を遣うことになりますし、結構なストレスになります。
もし、歩行者が左側通行であれば、向き合うバイクや自転車も左側通行ですので両サイドですれ違うことになり、その時に車が通っても、よほど狭くはない限りお互いが止まる必要はありません。
また、左側通行の歩行者の後ろからバイクや自転車が同じ方向から来て、歩行者を追い抜く時に車が来ても、歩行者の後ろからついていけば良いので、止まる必要はなくなります。
私は普段左側通行しているので、自転車やバイクがこういった狭い道を通っても問題は何もないのですが、右側通行をしてくる歩行者にだけは、すれ違う時に車が来ると止まらなければならないので、苦労させてられています。
私が右側通行をすれば良いとおっしゃるかもしれませんが、その場合は上記のようにバイクや自転車に迷惑がかかるので、私にはできません。
このケースだけを見ても、やはり歩行者も原則左側通行にすべきとは思います。
■見通しの悪い交差点の場合
少し狭い道での見通しの悪い交差点では、左側通行の自転車やバイクと、右側通行の歩行者で接触事故を起こしてしまう危険が常にあります。
左側通行をしている自転車やバイクは、常に左の道から来る右側通行の歩行者に気をつけなければなりません。
もちろん、交差点にカーブミラーがあればある程度は回避できますが、カーブミラーがない交差点も多いので、T字路や十字路では、常に一時停止するなどで気をつけなければならなくなります。
しかし、多少見通しの悪い道であっても、いちいち交差点で停止する自転車やバイクは少なく、歩行者との接触事故は昔から多くあるようです。
バイクの場合は、音で歩行者が気づいてくれる場合もありますが、自転車の場合はその可能性も低くなりますし、歩行者がイヤホンなどで音楽を聞きながら歩いていたら、音での感知も難しくなります。
もし、歩行者が左側通行であれば、自転車やバイクにとって左の道から来る歩行者が接触する前に見えるので、事故になる可能性はかなり下がります。
歩行者が左側通行であっても、見通しの悪い交差点では二輪車は減速する必要はありますが、危険度はかなり下がることになるでしょう。
■歩道が狭い場合
車道2車線で、歩道が白線のみでかなり狭い道は結構多くありますが、この歩道の中で右側通行で人とすれ違うと、車道側の人は後ろから車が来ることになるので、結構な危険が伴います。
私もこれが怖いので、右側通行ですれ違う場合は、常に右後ろを警戒しています。
もちろん車の方も気をつけていますので、接触してしまう可能性は低いのですが、歩行者がかなり深く車道側に入ってしまう可能性もありますし、車の方でも体調不良や不注意等で歩道側に寄ってしまうこともないとは言い切れません。
歩行者も左側通行をしていれば、左側通行ですれ違う場合は、車道側の人は前から車が来ることになるので、後ろを警戒する必要もなく、安全に人も車も避けることができます。
東京都内では、自然に歩行者が左側通行しているところも多くあるので、やはり車が左側通行の場合は、歩行者も左側通行とするのが理にかなっているのかと思われます。
■自転車を降りた場合
狭い道で左側通行をしている自転車が、坂道などを上りきれず、降りて自転車を押す場合、歩行者となるので原則右側通行となります。
原則を守るのであれば、道を横切って右側を歩きますが、坂道を上りきってまた自転車に乗ると、左側通行になるので、また道を横切らなければならず、非常に非合理的と言えます。
車通りが多い道で、このように左側通行と右側通行を切り替えると危険にもなります。
これは、バイクも同様です。
ただ、歩行者が右側通行なのはあくまで原則なので、自転車を降りて押しても左側通行のままでも良いのですが、それなら最初から歩行者も原則を左側通行にすれば良いのではないかと思います。
■海外からの観光客が混乱する
他にも、海外からの旅行者が混乱するという点も挙げられます。
他の国であれば、車が左側通行なら歩行者も左側通行、車が右側通行なら歩行者も右側通行が普通だと思いますが、日本のように車は左、人は右というルールをどれだけの観光客が把握しているのでしょうか?
まぁ、基本的に歩行者は歩道のどこを歩いても良いですし、母国の習慣で原則とは違う側を歩いてしまうという人も当然出てきますが、上で書いたように車が左なのに人は右では、海外の人は混乱する人が出てくるのは当然と言えます。
やはり、車が左なら人も左とするのが、誰にでも分かりやすいルールと言えます。
■歩行者のみが逆走している
車は左側通行、バイクも左側通行、自転車も左側通行なのに、歩行者だけ右側通行では、歩行者のみが常に逆走している状態になるわけです。
まぁ、走ってはいないので、逆行と言うべきかもしれませんが、不自然なルールであることはお分かりいただけたかと思います。
最初に書いたように、歩行者の原則が右側通行になっているのは、GHQが無理やり捻じ曲げたルールに従っているだけですので、即刻歩行者の原則も左側通行にするべきであり、皆さんにも左側通行を心がけていただきたいとは思います。