トラブルに遭った時3
今回はトラブルに遭った時の対処法や予防法などを、様々な事例で考えてみたいと思います。
■他人を助けた方が良いか
他人が危機にある時、善人であれば真っ先に助けようという気持ちが強いと思いますが、いかに善人であっても、まず冷静に判断することが必要です。
他人を助けた方が良いかどうかは、状況によります。
例えば、川で誰かが溺れていて、放っておけば間違いなく溺死するような状況でも、自分が飛び込んで助けに行くというのは、危険が伴います。
もし、泳ぎが得意でない人の場合、自分も溺れてしまって、死体を増やすだけになります。
また、泳ぎが得意な人であっても、レスキューの知識が多少ないと、助けることができない場合があります。
溺れている人というのは、呼吸ができず非常苦しい状態で、パニックを起こしています。
もし、溺れている人に正面から泳いで近づくと、真っ先に頭や肩を手で押さえつけられ、うまく助けられない可能性が高いのです。
こうなってしまうと、泳ぎが得意な人でも溺死する可能性が出てきてしまいます。
溺れている人を助けるには、その人の後ろ側へ回り込み、両脇から肩の方へ手を回して、頭を上にしてあげると呼吸を確保することができるので、これを維持して落ち着くのを待つ必要があります。
こういった知識がないと、泳ぎが得意な人であっても、助けることができない可能性があるのです。
もちろん、人を助けたいという思いは非常に良いことではありますが、人を助けるにも知識が必要ということは覚えておきましょう。
さらに、泳ぎが得意で、こういった知識を持った人であったとしても、激流の川で人が溺れている場合は、助けることができない可能性があります。
激流の場合は、うまく泳ぐことができず、溺れている人のところにもたどり着けないばかりか、泳ぎが得意な人でも流されて溺死してしまうかもしれません。
泳いで助けることが難しいと判断した場合、空のペットボトルなど何か浮くものや、ロープなどを溺れている人に投げて、助けることができないかなどを考えるようにしましょう。
場合によっては、救助隊を呼んで待つしかないこともあるかもしれません。
人を助けるかどうかは、何も考えずに行動するよりも、まず冷静になり、どの方法が最も確実に救助できるかを考えるようにしましょう。
■巧妙となる詐欺
振り込め詐欺など、電話による詐欺は依然として猛威を振るっていますが、振り込め詐欺も年々と巧妙になってきています。
近年は劇場型詐欺とも呼ばれ、複数の詐欺師が警察を演じたり、役所の人間になりすましたりと、様々な方法が行われています。
息子のフリをした詐欺師が、交通事故を起こしたので、示談金を振り込めという詐欺はよくありましたが、その後、警察のフリをした詐欺師から電話があり、本当だと信じ込ませるというのが、典型的なものでしょう。
その他、弁護士が出てきたり、裁判官が出てくる場合もあります。
いずれの場合も、電話でかかってくるので、おかしいと感じたら、誰かに相談したり、警察に通報するようにしましょう。
ただ、近年は本物の裁判所から通知が来る場合もあるようです。
これは、架空請求を無視したなどの場合に起きるもので、詐欺師も本当の裁判所に訴えを起こし、訴訟に持ち込むというものです。
もちろん、架空請求ですので、裁判に応じた場合は、詐欺師は裁判に出てきません。
裁判など面倒と思う人が多いので、それだったら請求書の通りにお金を支払うか、示談しようという人を狙ったものです。
しかし、これは本物の裁判所からの通知ですので、無視してしまうと、裁判所から支払い命令が来てしまい、これも無視すると刑罰にかかる恐れが出てきてしまいます。
こうなってしまうと面倒ですが、裁判に応じるしかないかもしれません。
また、少し前の話ですが、銀行のATMで、警察官のフリをする詐欺師がいたということがあったようです。
振り込め詐欺に遭ってしまった老人が、銀行のATMで振り込む際、詐欺被害の予防のためにいる警察官を逆手にとったもので、詐欺被害を防ぐ警察官のフリをして、銀行のATMを老人に操作させて振り込ませるというものです。
銀行には監視カメラもあり、詐欺師にとってはかなり危険なものとは思いますが、こういった詐欺師がいるということは、我々も認識しておいた方が良いでしょう。
警察官の制服を着ているからといって、警察官とは限らないのです。
もし呼んでもいないのに警察官を名乗る人物が出てきたら、警察手帳を見せてもらいましょう。
警察手帳が見せられて、本物かどうか分からなかった場合は、その場でスマフォなどでネットで調べるなどしましょう。
警察官が偽物なら、警察手帳を持っていないか、偽の警察手帳を持っていたとしても、詳しく調べられている時点で、退散するでしょう。
警察でなくとも、弁護士を名乗る人物が現れたら弁護士バッジがあるかを確認するとか、何か営業のような人物が訪ねてきたら、名刺を要求するなど、とにかく初対面の人は、疑ってかかるようにしましょう。
あらゆる人を警戒してしまうと、疑心暗鬼に陥ってしまう可能性もありますので、ほどほどにする必要はありますが、普段の生活であっても、警戒心や注意力は持っておくようにしましょう。
■ボッタクリは詐欺なのか
客引きに引っかかって、お店でボッタクリに遭った場合、詐欺で訴えるのは難しいと思われます。
商品やサービスの価格の設定は、お店側の自由であり、さらに売買契約が成立しているものと思われますので、ボッタクリだと被害届を警察に出したとしても、立件が難しい場合があるのです。
もちろん、お店のメニューや看板などで低めの価格が書いてあったのに、請求時にはその何倍もの値段になっていた場合は、景品表示法違反や詐欺罪に問える可能性は高いのですが、特にそういったものがなかった場合は、難しくなります。
ただ、お店側もそういったことは知っているはずですので、なるべく嘘がないようにはしているはずです。
もしくは、支払い時に、そんなにお金はないと拒否をすると、怖い人が出てきて脅されたり、殴られたということがあれば、脅迫罪や暴行罪となりますので、そちらで立件は可能かと思います。
いずれの場合も、警察に被害届を出すなら、それなりに証拠が必要となりますので、自分の言っていることが正しいと証明できるものを写真で取ったり、録音したり、暴行を受けたなら医師の診断書があった方が良いでしょう。
つまり、ボッタクリというのは、悪質ではありますが、詐欺ではないのです。
ボッタクリ被害に遭わない方が良いに越したことはありませんが、ボッタクリ被害を防ぐためには、日頃から商品などを見る目が必要となります。
先ほどの例は客引きだったので、引っかかる人も少ないかもしれませんが、通常の商品を買う際にもボッタクリは注意しなければなりません。
しかるべきお店で買う分には、あまりボッタクリはないと思いますが、最近はインターネットで信用度が分からないお店から商品を買うことも増えてきており、良質なものと思われたものが、実は安物だったというケースも少なくありません。
ましてや、個人間で売買するサイトの利用者も増えてきており、こちらはさらに注意が必要です。
個人の売り主などは、一度ボッタクリをした後、そのアカウントを削除して、また新たなアカウントで別のボッタクリを行うなど簡単なことなのです。
買う側としては、常にそういうリスクを考えた上で購入する必要がありますので、きちんと見る目や注意力を身につけておくようにしましょう。