無料は本当に得か?
フリー商法というのを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、フリー商法と言っても色々とあります。
無料なのになぜ儲けが出るのかや、企業にとって何がプラスになるかを少しご紹介できればと思います。
■フリー商法のカラクリ
サンプル品を無料で配ったり、一部の商品を無料で提供する商法があります。
なぜこのようなことをするのかと言えば、宣伝効果や話題による口コミの認知度上昇効果があるからです。
無料の商品ということであれば、当然多くの人が関心を持ちます。
1円でもお金を払うのであれば興味を持たないことであっても、無料となればノーリスクとなりますので、多くの人が飛びつくことになるのです。
1円と0円の差はわずか1円ではあるのですが、この差はとても大きいものです。
企業側としては、無料の商品を提供しても、他のもので利益が上がれば、それは成功ということになります。
居酒屋などで、ビール1杯を無料にしても、ビール1杯だけ飲んで帰る人はまずいませんので、他のお酒や料理で収益を得ることができるというわけです。
ビールの無料分は売上からの経費となるのですが、ビール1杯を無料にしたことにより、お客様が増える分、売上が上がるわけですから、その中から経費が支払われます。
トータルで利益が上がるのであれば、ビール1杯を無料にした方がお店は得をするということになります。
もちろん、必ず成功するわけではなく、無料にした分、赤字になったというケースも少なくはないと思います。
企業側としては、どういった商法が最も良いのかを常に考えているのです。
■過剰なサービスは得なのか
よくキャッシュバックや、懸賞品などを消費者に贈るようなキャンペーンを行っている企業がありますが、あまりにその総額が多額な場合は、注意する必要があります。
こういったキャンペーンを行っているのは、宣伝効果があるからですが、他のメーカーと比べて商品が高額な場合があります。
キャッシュバックや懸賞品は、当然その企業の売上から経費として支出されます。
ですので、その企業がよほど儲けていないと、多額のキャッシュバックや懸賞品は出せないのです。
本当の善良な企業であれば、商品の質を向上させた上で、商品を安く提供しようとしますので、あまりそういった大規模なキャンペーンはなかなかできないものです。
もちろん、企業によっては業績が良かったので善意でキャッシュバック等する場合もありますが、我々はそういった背景を注意して見た上で、どの商品を選ぶのが得なのかを見極めなければなりません。
商品があまりに安い場合も、すぐに飛びつくのではなく、なぜその商品がそんなに安いのかを一度冷静になって考えてみましょう。
提供する企業側から考えると、明らかに赤字になる値段なのに、そのような値段で提供するのは必ず理由があります。
業績の良かった企業が善意で安く提供する場合もありますが、安すぎる商品やサービスは、裏がある場合も多いものです。
本当にその商品が問題ないものかどうか、自分の目で判断しましょう。
■音楽のフリー商法
近年は、音楽CDの売上は減少が続いており、ネット販売によるダウンロードの方も好調というわけではないようです。
アンケート結果では、CDをレンタルして聞くという人が多いそうです。
また、2012年に違法な音楽データのダウンロードを禁止する法律ができましたが、それができたからと言って音楽業界の景気がよくなったわけではないようです。
むしろ、これは逆効果かもしれません。
海賊版といって、不正にコピーされたCDやDVDを販売する悪徳業者もいるのも確かで、それは問題ではあります。
ただ、音楽でもフリー商法というものがあり、音楽データを無料でダウンロードさせたり、CDを無料で配ることで、そのアーティストに関心を持ってもらい、他の曲やコンサートで売上を上げるという手法で大儲けした人もいらっしゃるようです。
話題作りや関心を持ってもらうという意味で、海賊版や違法ダウンロードが宣伝になったというケースもあったようです。
違法ダウンロードを厳しく取り締まることで、多くの若者達が、さらに音楽業界への興味をなくし、音楽業界全体の景気が悪くなる可能性があるのです。
もちろん、違法ダウンロード自体を推奨するわけではありませんが、音楽業界全体のためにも、フリー商法を取り入れた方が良いのかもしれません。
最近は、音楽データの売上が下がり続けているので、多くのアーティストはライブやコンサートで稼ぐ手法を取っています。
そういった手法も、人々の音楽への興味自体が薄れてしまってきたら、効果が薄くなってきますので、無料で音楽を聞いてもらうということも、時には必要かもしれません。
■宣伝効果
フリー商法とは違いますが、ベストジーニストや流行語大賞のようなイベントは、宣伝効果が高いために行っているイベントです。
主催者が有名人を集めたりして行うイベントですが、話題作りやその主催者の名前を宣伝するために行っています。
その他、月額課金のサービスは、最初の1ヶ月は無料にするというのも、契約のハードルを低くするという効果と、実際にサービスを利用してもらって試してもらうという効果もあります。
スマートフォン向けのゲームが無料なのも、敷居を低くするためです。
そういったゲームは、広告で収益を上げる場合もありますが、主にアイテム課金をしたり、ヘビィユーザーは有料会員になってもらうという手法を取って利益を上げています。
ただ、それには利用するユーザーが少ないと、お金を払ってくれるユーザーも減りますので、ゲーム自体を無料にするという手法を取るのです。
また、髭剃りなどで、本体はそれほど高くないのに、替え刃は高いという商品があります。
フリー商法ではないですが、これも本体自体を安くして、替え刃で収益を上げるという手法になります。
このように、企業は宣伝や話題作りのために、色々と努力をしているのです。
我々も、なるべくそういった事情を理解しておくと、どの企業の商品を買うのが良いのかを正しく判断できるようになるかもしれません。